BRC RESOURCE NEWS /
Contents:
- 細胞周期観察用蛍光タンパク質 Fucci2a (2024/09/13)
- コモンマーモセットcDNAクローンMMTD (2024/06/03)
- 明るく、褪色しにくい緑色蛍光タンパク質 単量体型StayGold (2024/02/13)
- 光スイッチング蛍光タンパク質Kohinoorなど様々な光るタンパク質 (2023/09/01)
- 様々な生物に由来する高輝度発光ルシフェラーゼや発光タンパク質 (2023/04/28)
- オルガネラコンタクトサイトを可視化するSplit-GFPプローブ (2022/12/16)
- 明るく、退色しにくい新規の緑色蛍光タンパク質 「StayGold」 (2022/08/05)
- 哺乳動物細胞用の遺伝子発現ベクター pEF-BOSシリーズ (2022/03/19)
細胞周期観察用蛍光タンパク質 Fucci2a
- Fucci2aは、G1期特異的タンパク質(hCdt1(30/120)) -mCherryとS/G2/M期特異的タンパク質(hGeminin(1/110)) -mVenusがT2A配列を介して融合しています。このため、培養細胞への導入時などに、2種類の蛍光タンパク質の発現量が安定することから、細胞周期を高精度に観察することができます。
(INF0089j 2024.09.13 N.N)
コモンマーモセットcDNAクローンMMTD
- 理研CBS 下郡智美先生の研究チームが公開しているMarmoset Gene Atrasデータベースの遺伝子発現パターン解析に使われたin situ Hybridizationプローブ作製用のプラスミドを提供中です。
(INF0088j 2024.06.03 N.N)
明るく、褪色しにくい緑色蛍光タンパク質 単量体型StayGold
- プラスミドリストは、下記をご参照ください。
Ando, R. et al., StayGold variants for molecular fusion and membrane-targeting applications. Nat Methods. 2023 Nov 30. doi: 10.1038/s41592-023-02085-6. Epub ahead of print PMID 38036853.
- RDB20214 pRSETB/mStayGold
Plasmid vector of mStayGold, a monomeric version of the StayGold. - RDB20215 pRSETB/mStayGold(c4)
Plasmid vector of mStayGold, a monomeric version of the StayGold with c4 adaptor. - RDB20220 pcDNA3/F-tractin=mStayGold
Expression vector of mStayGold for filamentous actin labeling. - RDB20221 pcDNA3/mStayGold(c4)=UtrCH
Expression vector of mStayGold for filamentous actin labeling. - RDB20222 pcDNA3/td5StayGold(c4)=GianCreg
Expression vector of td5StayGold for labeling the Golgi apparatus. - RDB20226 pBS Coupler4/td8ox2StayGold (c4)
Plasmid vector of td8ox2StayGold(c4) for fusion to the N-terminus of a target molecule (X) through a Coupler linker: (GGGGS)x3. - RDB20227 pBS Coupler1/td8ox2StayGold
Plasmid vector of td8ox2StayGold for fusion to the C-terminus of a target molecule (X) through a Coupler linker: (GGGGS)x3. - RDB20228 pcDNA3/Cox8a=mStayGold
Expression vector of mStayGold as a fluorescent marker of the inner mitochondrial membrane.
- RDB20214 pRSETB/mStayGold
(INF0087j 2023.02.13 N.N)
光スイッチング蛍光タンパク質Kohinoorなど様々な光るタンパク質
- 光スイッチング型Kohinoor、耐酸性型Gamillus、短波長群青色型Siriusなどの蛍光タンパク質を大阪大学産業科学研究所の永井健治先生よりご寄託いただきました。是非、利活用ください。
Fluorescent Protein | Product | PMID | Resource name | Cat ♯ |
---|---|---|---|---|
Kohinoor 2.0 | A photoswitchable fluorescent protein for hours-time-lapse and sub-second-resolved super-resolution imaging | 33481018 | Kohinoor 2.0/pcDNA3 | RDB19862 |
SPOON | Spontaneously blinking luorescent protein for simple single laser super-resolution live cell imaginga | 29963852 | SPOON/pcDNA3 | RDB19863 |
Gamillus | Acid-Tolerant Monomeric GFP from Olindias formosa | 29290624 | Gamillus/pcDNA3 | RDB19864 |
Super Nova | Green monomeric photosensitizing fluorescent protein for photo-inducible protein inactivation and cell ablation | 29712573 | SuperNova Green/ pRSETB | RDB19865 |
Sirius | A monomeric photosensitizing fluorescent protein for chromophore-assisted light inactivation | 19349978 | Sirius/pcDNA3 | RDB19875 |
Cameleon-Nano | An ultrasensitive calcium ion sensor with Kd, 65 nM (Also available in 15, 30 and 50 nM versions) |
2069399 | Yellow Cameleon-Nano65 /pcDNA3 | RDB19877 |
(INF0086j 2023.09.01 N.N)
様々な生物に由来する高輝度発光ルシフェラーゼや発光タンパク質 (2023/04/28)
- 自然界には、ホタルや海洋生物のように自ら発光する生物がたくさん存在しています。発光現象は、基質の酸化反応によるものですが、ルシフェラーゼ・レポーターアッセイに代表されるように、発光を活用した研究手法が、広く普及しています。
- レポータータンパク質として用いられる発光酵素として、北アメリカ産ホタル(Photinus pyralis)のルシフェラーゼがよく知られていますが、近年までに、カイアシ類(プランクトン)やエビなどの海洋生物に由来する発光酵素や人工的に設計された発光酵素などが開発されています。これらは、ホタル由来のレポータータンパク質と比較して、分子量が小さく高輝度です。そのため、発光酵素に結合したタンパク質の機能に影響を与えにくい特徴を有しており、生細胞内で標的タンパク質の動態などをリアルタイムに検出できる発光イメージング研究などに活用されています。
- JNC株式会社(以下、JNC社) は、生物発光に関する長年にわたる研究成果として、細胞からのインスリン分泌を発光イメージング方法によって観察し、細胞全体におけるエキソサイトーシス部位の局在を特定しうること、細胞からのインスリン分泌量を定量しうることなどを見いだしています(Suzuki, T. et al. Anal. Bichem., 2011., Suzuki, T. et al. Plos One., 2011)。JNC社では、研究過程で開発した生物発光酵素のプラスミドを販売しておりましたが、この度、カイアシ類のガウシア・プリンセップス(Gaussia princeps)由来やヒオドシエビ(Oplophorus gracilirostris)由来のルシフェラーゼやオワンクラゲ(Aequorea victoria)由来のイクオリンなどの発光タンパク質を含む27種類のプラスミドDNAをご寄託していただくことになりました。当室が引き継いで、ご提供いたします。
URL:JNC CORPORATION’s Resource - また、産業技術総合研究所の金 誠培先生の研究グループは、カイアシ類由来の発光酵素を元に、最適なアミノ酸配列を人為的に改良・改善することで、元々の発光酵素より最大で100倍の高輝度でありながら、発光持続性のある人工生物発光酵素(Artificial luciferase; ALuc)を開発しました(Kim, S.B. et al. Bioconjug. Chem., 2013)。この度、2種類のALucプラスミドをご寄託していただきました。
URL:Sung-Bae Kim’s Resource - その他、赤色発光ルシフェラーゼ(Akaluc)、環境要因に作用されにくいルシフェラーゼ(PmatLuc1やPsagRE1Lucなど)などをご提供できます。研究用途に合わせてお選びください。皆様の活発なご利用をお待ちしております。
URL:高発光ルシフェラーゼ - 参考論文など
- Inouye, S. et al. Proc. Natl. Acad. Sci. U S A. 82 (10): 3154-3158, 1985. PMID 3858813
- Inouye, S. et al. Protein Expr. Purif. 109: 47-54, 2015. PMID 25665506
- Inouye, S. et al. Protein Expr. Purif. 52: 66-73, 2007. PMID 16997571
- Inouye, S. FEBS Lett. 347 (2-3): 163-168, 1994. PMID 8033996
- Inouye, S. et al. FEBS Lett. 315 (3): 343-346, 1993. PMID 8422928
- Inouye, S. J. Biochem. 143 (5):711-717, 2008. PMID 18296715
- Inouye, S. et al. FEBS Lett. 341 (2-3): 277-280, 1994. PMID 8137953
- Inouye, S. et al. FEBS Lett. 481 (1): 19-25, 2000. PMID 10984608
- Inouye, S. et al. Biochem. Biophys. Res. Commun. 445 (1): 157-162, 2014. PMID 24491536
- Inouye, S. et al. Biochem. Biosci. Biotechnol. 75 (3): 568-571, 2011. PMID 21389603
- Inouye, S. et al. Biochem. Biophys. Res. Commun. 376 (3): 448-453, 2008. PMID 18789309
- Suzuki, T. et al. Anal. Bichem. 415 (2): 182-189, 2011. PMID 21477579
- Suzuki, T. et al. Plos One. 6 (9): e25243, 2011. PMID 21969874
- Inouye, S. et al. Protein Expr. Purif. 128: 93-100, 2016. PMID 27506135
- Inouye, S. & Sahara, Y. Protein Expr. Purif. 53 (2): 384-389, 2007. PMID 17275329
- Kim, S.B. et al. Bioconjug. Chem. 24 (12): 2067-2075, 2013. PMID 24237362
- Kim, S.B. et al. ACS Comb. Sci. 19 (9): 594-599, 2017. PMID 28742969
- 人為的に設計・開発した生物発光酵素(ALuc) (産業技術総合研究所プレスリリース 2013.11.26)
- 人工生物発光酵素(ALucR)に選択的に発光する基質を開発 (産業技術総合研究所プレスリリース 2017.12.22)
(INF0085j 2023.04.28 N.N)
オルガネラコンタクトサイトを可視化するSplit-GFPプローブ (2022/12/16)
- オルガネラが異なるオルガネラと結合する領域(オルガネラコンタクトサイト)の観察は、固定化した細胞を用いた解析が一般的です。生細胞における解析方法も報告されていますが、検出感度が低いなどの問題がありました。山形大学の田村康先生、京都産業大学の遠藤斗志也先生の研究グループは、Split-GFPの特性を利用して、オルガネラコンタクトサイトを可視化するための有効なツールを開発しました (Kakimoto, Y. et al., Sci. Rep. 8 (1): 6175, 2018. PMID 29670150)。
- Split-GFPは、二つに分割されたGFPのタンパク質断片であり、それぞれは蛍光を発しません。一方、これらの断片が近接することで、GFPが再構築され、その蛍光が復活します。研究グループは、GFPを構成する11本のβストランドをN末端側の10本(GFP1-10)とC末端側の1本(GFP11)に分割し、それぞれ異なるオルガネラに局在するタンパク質に結合し発現させました。観察された蛍光が、本来のオルガネラコンタクトサイトの形状に応じて検出されたこと、既知のオルガネラ結合因子と同じ場所に観察されたことなどから、生きた細胞内のオルガネラコンタクトサイトが可視化されたことが分かりました。
- ミトコンドリアや小胞体などへの局在配列にGFP1-10並びにGFP11が融合した、哺乳動物細胞発現用や出芽酵母に用いるゲノムインテグレーション用のSplit-GFPプローブプラスミドなどを田村先生から寄託していただきました。皆様の活発なご利用をお待ちしております。
- プラスミドリスト
- 参考論文など
- Kakimoto, Y. et al., Sci. Rep. 8 (1): 6175, 2018. PMID 29670150
- Tashiro, S. et al., Front. Cell Dev. Biol., 8: 571388, 2020. PMID 33330450
- Shirane, M. et al., Nat. Commun., 11 (1): 4576, 2020. PMID 32917905
- 実験医学 2022年 6月号 Vol.40 No.9 クローズアップ実験法
- オルガネラ(細胞小器官)間相互作用の可視化に成功~細胞内構造のこれまでの概念を一新~(山形大学、京都産業大学プレスリリース 2018.4.18)
- YU-SDGsプロジェクト 「オルガネラコンタクトサイトの謎を解明する」
(INF0084j 2022.12.16 N.N)
明るく、退色しにくい新規の緑色蛍光タンパク質 「StayGold」 (2022/08/05)
- オワンクラゲから緑色蛍光タンパク質(GFP)が発見されて以降、様々な波長域を持つたくさんの蛍光タンパク質が発見・開発され、細胞内のタンパク質の局在や動態を解析するための可視化ツールとして活用されています。一方で、蛍光タンパク質は、高輝度での撮影のために強い励起光を照射したり、経時的な変化を観察するために繰り返し光を照射すると褪色し、シグナルが減弱するという欠点がありました。
- 理化学研究所脳神経科学研究センターの宮脇敦史チームリーダーと東北大学、北里大学、花王との共同研究グループは、野生型タマクラゲ由来の新規の緑色蛍光タンパク質CU17Sの遺伝子を単離し、培養細胞や大腸菌に導入したところ、暗いものの退色しにくい特性を有していることを見出しました。さらに、CU17S遺伝子に特定の変異を導入することで、極めて退色しにくい性質はそのままに非常に明るい蛍光タンパク質を開発することに成功しました。この蛍光タンパク質は、明るくいつまでも輝き続けるという意味を持つ「StayGold」と命名されました(Hirano, M. et al., Nat. Biotechnol. 2022. PMID: 35468954)
- StayGoldの光安定性は、既存の蛍光タンパク質と比較して、最大で100倍程度優れています。宮脇敦史チームリーダーらは、StayGoldの退色しにくいという特性を活かし、連続的な照明の下、経時的な蛍光観察を行って、小胞体などの細胞内器官の動的構造変化を明らかにしました。また、SARS-CoV-2のスパイクタンパク質にVHH抗体とともに結合させ、感染細胞内でウイルス粒子が成熟する過程の観察に成功しました。
- この度、宮脇敦史チームリーダーより標的遺伝子をN末端、あるいはC末端に融合できるStayGold (cat# RDB19605: (n1)StayGold/pRSET、cat# RDB19606: (n1)StayGold(c4)/pRSET)や微小管滑走分子などを効率よく蛍光標識するためにStayGoldを直列に連結したtandem dimer StayGold (cat# RDB19609: tdStayGold/pcDNA3)など計10種類のプラスミドを寄託していただきました。皆様の活発なご利用をお待ちしております。
- プラスミドリストは、下記をご参照ください。
Hirano, M. et al. A highly photostable and bright green fluorescent protein. Nat. Biotechnol. 40 (7): 1132-1142 (2022). PMID 35468954.- RDB19605 (n1)StayGold/pRSET
Fluorescent protein StayGold for fusion to the C-terminus of target molecule - RDB19606 (n1)StayGold(c4)/pRSET
Fluorescent protein StayGold for fusion to the N-terminus of target molecule - RDB19607 (n1)oxStayGold/pRSET
Fluorescent protein oxStayGold for fusion to the C-terminus of target molecule - RDB19608 (n1)oxStayGold(c4)/pRSET
Fluorescent protein oxStayGold for fusion to the N-terminus of target molecule - RDB19609 tdStayGold/pcDNA3
Fluorescent protein tdStayGold for fusion to the C-terminus of target molecule - RDB19610 tdStayGold(c4)/pBS Coupler
Fluorescent protein tdStayGold for fusion to the N-terminus of target molecule - RDB19611 tdoxStayGold/pcDNA3
Fluorescent protein tdoxStayGold for fusion to the C-terminus of target molecule - RDB19612 tdoxStayGold(c4)/pBS Coupler
Fluorescent protein tdoxStayGold for fusion to the N-terminus of target molecule - RDB19613 er-(n2)oxStayGold(c4)
Vector for ER labeling with fluorescent protein oxStayGold - RDB19614 mt-(n1)StayGold
Vector for Mitochondria labeling with fluorescent protein StayGold
- RDB19605 (n1)StayGold/pRSET
(INF0083j 2022.08.05 N.N)
哺乳動物細胞用の遺伝子発現ベクター pEF-BOSシリーズ (2022/03/19)
- pEF-BOS、並びにpEF-BOS-EXベクターは、大阪大学 免疫学フロンティア研究センターの長田 重一 先生らによって開発された哺乳動物細胞用の遺伝子発現ベクターです (Mizushima, S and Nagata, S. Nucleic Acids Res. 18 (17): 5322, 1990、Murai, K. et al. Proc. Natl. Acad. Sci. USA. 95 (7): 3461-3466, 1998)。これらのベクターは、ヒト由来のポリペプチド鎖伸長因子EF-1αプロモーターが搭載されており、細胞種に依存しない高いプロモーター活性により、様々な細胞種への遺伝子導入実験に用いられています。
- この度、長田先生よりpEF-BOS-EXを改良した付加価値の向上したベクター、すなわち目的遺伝子産物にFLAGタグを融合できるpEF-Flag-EX (RDB18972)、並びに目的遺伝子の安定発現細胞株を作製するために用いるネオマイシン耐性マーカーを持つpNEF-BOS-EX (RDB18970)とピューロマイシン耐性マーカーを持つpPEF-BOS-EX (RDB18971)を寄託していただきました。皆様の活発なご利用をお待ちしております。
Cat.# Resource name Remarks RDB07939 pEF-BOS RDB07940 pEF-BOS-EX RDB18972 pEF-Flag-EX N-terminal FLAG-tag RDB18970 pNEF-BOS-EX Selectable markers in mammalian cells, Neomycin RDB18971 pPEF-BOS-EX Selectable markers in mammalian cells, Puromycin
(INF0082j 2022.03.19 N.N)
(GRP0071j 2022.03.19 N.N)
2024.09.13