高発光ルシフェラーゼ
Akaluc 新規開発の赤色発光のルシフェラーゼ
ホタルの生物発光システムは、生命現象のイメージングに汎用されていますが、発光基質の組織透過性が低いという欠点がありました。理研脳神経科学研究センターの宮脇 敦史先生、岩野 智先生、電気通信大学大学の牧 昌次郎先生らのグループは、生きた動物個体深部を非侵襲的に観察できる人工生物発光システムAkaBLIを開発しました。
AkaBLIシステムは、組織透過性の向上した人工基質AkaLumineとAkaLumineに合わせて開発した人工酵素Akalucで構成されています。AkaBLIの発光シグナルの強度は、従来と比べ100~1000倍です。
宮脇研究室より、人工酵素Akalucの発現ベクターが当遺伝子材料開発室に寄託され、提供可能となりました。皆様の活発なご利用をお待ちしております。
- 論文
Iwano, S. et al., Single-cell bioluminescence imaging of deep tissue in freely moving animals. Science 359 (6378): 935-939 (2018). PMID 29472486. - プレス
「脳の深部を非侵襲的に観察できる人工生物発光システムAkaBLI」 (2018/2/23 理研) - DNA resource
pcDNA3 Venus-Akaluc (cat# RDB15781)
pAAV2 SynTetOff Venus-Akaluc (cat# RDB15782)
pAAV2 TRE Venus-Akaluc (cat# RDB15783)
(2018.05.07 N.N.)
D-ルシフェリンのまま高い強度の発光が得られるルシフェラーゼ
一般的な北米産ホタル由来のルシフェラーゼと比較して、2 倍以上、最大で 4倍程の明るい発光強度が得られる日本産、ならびにマレーシア産 ( ※1 ) ホタル由来のルシフェラーゼ遺伝子です。オリンパス株式会社 小江克典先生らによって開発されました。基質である D- ルシフェリンとの反応によって高い発光強度を得られることが確認されています(参考文献 1、2、3、4、5)。
1. ホタル由来ルシフェラーゼ 特開2012-235756
2. ホタル由来ルシフェラーゼ 特開2013-74861
3. ホタル由来ルシフェラーゼ 特開2013-138668
4. ホタル由来ルシフェラーゼ 特開2013-81459
5. FIREFLY LUCIFERASE United States Patent Application US 2015/0291938 A1
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ルシフェラーゼをクローニングした発現ベクターをHeLa細胞に導入し、2mM D-luciferin存在下で発光させた。左上からPmatLuc1、DkumLuc1、MALuci2Luc。右上からSflaRE1Luc、PsagRE1Luc。 |
選べる 3 色発光 !多色観察に応用できます
D- ルシフェリンを基質として緑色、黄色、赤色の発光が得られます。これらを組み合わせた多色発光観察にも応用できます。
Catalog no. | Name of clone | Origin | Intracellular luminescence intensity(vie, Phothinus pyralis) | Maximal absorption wavelength (pH8, in vitro) | misc. | |
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25℃ | 37℃ | |||||
RDB14359 | pPmatLuc1 | Pyrocoeli matsumurai | 4 times or more | 560 nm | 567 nm | luciferase cDNA is cloned in pUC19 vector. |
RDB14360 | pDkumLuc1 | Drilaster kumejimensis | 4 times | 558 nm | 562 nm | |
RDB14363 | pMALuci2Luc | Malaysian Luciola sp. ※1 | 2 times | 556 nm | 557 nm | |
RDB14362 | pSflaRE1Luc | Stenocladius flavipennis | 2 times | 608 nm | 609 nm | |
RDB14361 | pPsagRE1Luc | Pyrocoeli sagulatus | 2 times | 605 nm | 606 nm |
環境要因に作用されにくい高い安定性があります
pH 変化や温度変化などに起因する発光色への影響が少なく、安定した解析結果を得られます。
大腸菌で発現させ精製したルシフェラーゼとGTA Buffer(最終濃度200mM)、ATP(最終濃度2mM)、MgSO4(最終濃度2mM)、D-Luciferin(最終濃度1mM)を含む反応液で発光させた。左、25℃。右、37℃。 | |
PmatLuc1 | ![]() |
DkumLuc1 | ![]() |
MALuci2Luc | ![]() |
PsagRE1Luc | ![]() |
SflaRE1Luc | ![]() |
※1 生物多様性条約に基づきPerak State Development Corporation, Nimura Genetic Solutions およびオリンパス株式会社の共同開発。
(注) 画像、ならびにデータは、オリンパス株式会社から提供を受け、編集して掲載。
ウミサボテン由来(耐熱性GFPとpH感受性GFP)は蛍光タンパク質リソースに掲載しています。
(GRP0025j 2016.11.16 N.N.)
2020.12.11