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クロンテック社との、 蛍光タンパク質DsRed2とmCherryの学術利用目的の保存と提供に関するLIMITED USE LICENSE締結

BRCからのお知らせ

PCRの話し


PCRの話し (1)

■ 市販のPCR用試薬の増幅効率が格段に上がっているとはいえ、PCRで目的のバンドが現れないことは時々経験します。テンプレートがゲノムDNAだったり、増幅領域が長かったり、GCリッチの配列が含まれる場合は条件設定が特に難しくなります。最近、ゲノミックPCRを行う機会が多くなり、失敗と成功の体験から幾つかの教訓を得ました。
■ テンプレートの条件:ゲノムDNA抽出には様々なプロトコールがありますが、特にこだわる必要はありません。フェノール-クロロホルム抽出を一回とエタノール沈澱で精製するか、または市販のゲノムDNA抽出カラムで精製しておけば十分です。PCR用のテンプレートの場合、サザンブロッティング用のゲノムDNAのように数十kbの長さを保つ必要がなく、むしろボルテクスで適度に断片化させた方が増幅しやすい感があります。RNAの大量混入はPCR反応を阻害する要因になりえますが、DNA抽出の最初のステップで組織を溶解するバッファーにRNase Aを添加していれば、問題になることはありませんでした。最も重要な点はPCR反応にテンプレートを入れすぎないことです。20μlの反応系なら5から10ngで十分です。増幅実績のある反応系でも、30ng以上のゲノムDNAを入れると何も増幅されなくなることをしばしば経験しています。バンドがまったく現れない時は、抽出の失敗でDNAが全く入っていないか(抽出したDNAが貴重で電気泳動に使う余裕がない場合)、反応に使ったDNAが多すぎると考えた方がいいでしょう。むやみにテンプレートを増やさないことが肝要です。
■ GCリッチ領域の増幅:増幅させる目的の配列の中にGCリッチ領域があると、相補鎖が結合しやすくポリメラーゼが走りにくくなるので、伸張反応の過程でいかにDNAを解離状態に保つかがポイントとなります。そのため、反応温度を高くし、高い反応温度でも利用できるTm値の高いプライマーを設計することが基本です。GCリッチ領域に限らず、ゲノムPCR用のプライマーのTm値は65℃以上に設計することが好ましいです。Tm値が65℃のプライマーセットを用いる場合、最初に60℃でのアニーリングを試します。もし、目的のバンドとともにエクストラバンドが現れたり、バンドが薄いときは、解決策としてアニーリング温度を上げることを試して下さい。これで改善されることがよくあります。アニーリングステップを省略した2ステップPCRプログラムも選択肢として考慮できます。一方、GCリッチ領域のTm値を下げるため、反応液に5から10%のDMSOを加える手法も効果がありました。このほかに、denature(変性)ステップの温度を通常より2から3℃高く設定することで問題が解決されたことも経験しています。この場合、酵素の失活を防ぐためdenatureステップの時間を短くした方が無難です。サーマルサイクラーの機種にも依りますが、我々は20μlの反応系の場合10秒くらいに設定しています。
■ 長いゲノム領域の増幅:長いDNA領域をターゲットとした時、要求されるPCR酵素の増幅効率や熱安定性が格段に高くなります。明確な閾値はありませんが、増幅領域が10kb以上の場合はLong PCR対応と謳っているPCR試薬を選ぶことをお勧めします。ただし、通常のDNAポリメラーゼ製品の中でも6から10kbの比較的長いターゲットの増幅に適用できるようにされたものがあります。最新版のPCR酵素カタログをよく読んで選んでください。さらに、「裏技」の範疇に入りますが、PCR用酵素とそれと異なるブランドのバッファーを併用することで8kb以上のフラグメントの増幅に成功したこともあります。Long PCRを行う時に限らず、反応系やPCRプログラムをいろいろ変えても複数のバンドまたはスメアな産物しか得られないこともよくあります。この場合、一回目の反応液を1/50から1/100に希釈し、nested-PCRを行うことで、予想よりもうまくいくことが多々あります。異なるプライマーセットでnested-PCRを行うのでなく、first-PCRと同一のプライマーセットをそのまま用いても、目的フラグメントのみが増幅されて明瞭な単一バンドが見えてきたことを何度も経験しています。(J.P.)
(Mail News 2007.03.27 掲載記事より)

 

PCRの話し (2)

■ PCR で標的の増幅が見られないときに、鋳型DNA溶液を希釈して使用することで増幅が得られることがあります。以前、ラボマニュアル「PCR の話し (1)」で触れたことがありますが、鋳型DNA の溶液中に入り込んでいる何らかの物質が、PCR 反応を阻害していることが考えられ、溶液の希釈によりその阻害物質の濃度が下がることで阻害が解除されると考えられます。
■ ところで、その阻害物質は何でしょうか?今回、「BRC-JCM 保有微生物株由来ゲノムDNA」の調製過程でその「これがその正体か?!」という事例に遭遇しましたので、報告します。
■ 遺伝子材料開発室では、微生物材料開発室と共同で30 種あまりの微生物DNA を調製し、提供してきました。利用者から新たな菌の追加依頼があり、Mitsuokella multacida (JGD06653, JCM 2054T) 、Selenomonas ruminantium subsp. lactilytica (JGD06655, JCM 6582T) とPrevotella albensis (JGD06677,JCM 12258T) について、これまでと同じようにアルカリ法でDNA の抽出を行いました。(下記参照)
■ いつものように提供用に調製したサンプルを10倍希釈し、それを鋳型DNA として1 uL を用いた20 uLの反応系で16S rRNA gene を標的とする真正細菌検査用プライマーを用い、PCR を行いましたが、全くバンドが観察されません。これまで調製してきた30 あまりの株では、このように濃い鋳型DNA でPCR による目的バンドの増幅阻害がかかる菌はありませんでした。疑問に思い、Mitsuokella multacida のDNA 抽出過程を思い出してみると、エタノール沈殿操作によって、DNAのほかに結晶様の白い沈殿が観察されていたことに思い当たりました。
■ この白い結晶様の沈殿は、エタノール沈殿の過程で析出し、水に良く溶け、DNA と挙動を共にしています。多糖類ではないかと思い、多糖類の除去に有効であるとされるCTAB [Cety1 Trimethy1 AmmoniumBromide (hexadecyltrimethyl ammonium bromide)] によるDNA 抽出を試みました。(下記参照)
■ その後、通常のアルカリ法で調製したDNA とそれをさらにCTAB 抽出し、多糖類を除く操作をしたDNA を同じ濃度 (300 ng/uL) に調製し、PCR の鋳型としてPCR を行いました。今度は、もとのDNA を10 倍に希釈するだけでなく、10 の0.5 乗倍ずつ段階希釈し、鋳型DNA としてPCR を行いました。PCR 産物を電気泳動により確認したところ、期待に反して両者とも同じ結果となりました。即ち、もとのDNA を10 倍に希釈した30 ng/uL の鋳型DNA を1 uL 用いた場合は、増幅されるDNA 断片は観察されず、10 の1.5 乗倍希釈では薄っすらとしたバンドが、10 の2 乗倍以上の希釈で良好なバンドを観察できました。
■ 結局、CTAB 抽出によりDNA 溶液から結晶様の白い沈殿を除くことはできたのですが、それによりPCRによる増幅が改善されたわけではありませんでした。CTAB 抽出により除去できたものがPCR を阻害しているわけではないことは分かりましたが、何が阻害物質なのかは未だ分かりません。改善のヒントとなる情報をお待ちいたしております。(T.M.)
(Mail News 2008.10.10 掲載記事)

アルカリ法による微生物ゲノムDNA 抽出

  1. 50 mL コニカルチューブで菌体を8 mL の0.15 M NaCl + 0.1 M EDTA (pH8.0) に懸濁する
  2. 1 mL の10 mg/mL lysozyme (in PBS) を加える
  3. 37℃水槽で5 分間加温する
  4. 1 mL の0.5 M Tris-HCl (pH7.5) + 5% (w/v) SDS を加える
  5. 25 uL の10 mg/mL proteinase K を加える
  6. 60℃水槽で10 分間加温する
  7. 等量のフェノールによる抽出を2回繰り返す
  8. 等量のフェノール/クロロホルムによる抽出を2回繰り返す
  9. 等量のクロロホルムによる抽出を1回行う
  10. 水相を新しいチューブに移し、2 倍量のエタノールを加え、静かに混和する
  11. 現れたDNA (白い糸くずの塊状のもの)をプラスチック製エーゼに巻き取り、新しいチューブに移す
  12. エーゼからDNA が離れない場合は、無理にとらずにエーゼの先端をハサミで切る
  13. 10 mL の75% エタノールを加え、沈殿をすすぐ
  14. 遠心をかけずにエタノールを十分除く
  15. DNA が乾かないうちに1 mL のTE + 10 ug/mL RNaseA を加える
  16. 37℃で30 分間加温する
  17. 5 uL の10 mg/mL proteinase K を加える
  18. 37℃で1 時間加温する
  19. さらに1 mL のTE バッファーを加える
  20. 等量のフェノールによる抽出を1回行う
  21. 等量のフェノール/クロロホルムによる抽出を1回行う
  22. 等量のクロロホルムによる抽出を1回行う
  23. 水相を新しいチューブに移し、2 倍量のエタノールを加え、静かに混和する
  24. 3,000rpm で5 分間遠心分離を行う
  25. 1 mL の75% エタノールを加え、沈殿をすすぐ
  26. 3,000rpm で5 分間遠心分離を行う
  27. エタノールを十分除く
  28. DNA が乾かないうちに1 mL のTE バッファーを加え、十分溶解させる
  29. DNA 濃度を測定し、濃い場合にはさらにTE バッファーを加える

CTAB によるDNA 抽出

  1. TE バッファーに溶解したDNA 溶液600 uL を新しいチューブに取分ける
  2. 100 uL の5 M NaCl を加える
  3. Bacto-tryptone      12.0 g
  4. 80 uL のCTAB/NaCl [10% (w/v) CTAB/0.7 M NaCl] 溶液を加える
  5. 65℃水槽で10 分間加温する
  6. 等量のクロロホルムによる抽出を1回行う
  7. 等量のフェノール/クロロホルムによる抽出を1回行う
  8. 等量のクロロホルムによる抽出を1回行う
  9. 水相を新しいチューブに移し、0.6 容のイソプロパノールを加え、静かに混和する
  10. 現れたDNA (白い糸くずの塊状のもの)をプラスチック製エーゼに巻き取り、新しいチューブに移す
  11. エーゼからDNA が離れない場合は、無理にとらずにエーゼの先端をハサミで切る
  12. 1 mL の75% エタノールを加え、沈殿をすすぐ
  13. 3,000rpm で5 分間遠心分離を行う
  14. エタノールを十分除く
  15. DNA が乾かないうちに300 uL のTE バッファーを加え、十分溶解させる
  16. DNA 濃度を測定し、濃い場合にはさらにTE バッファーを加える