大腸菌組換え蛋白質の調製
■ 大腸菌で組換え蛋白質を発現させるにはBL21 (DE3)ないしBL21 (DE3) pLysS を用います。親株のBL21 株はOmpTとLon protease遺伝子の欠損株であり、組換え蛋白質の分解を抑えつつ発現させることができます。これらはT7 RNA polymerase promoter を持つ発現ベクターでの組換え蛋白質産生に有効です。T7 RNA polymerase promoter ではない発現ベクターでも利用可能です。利用条件はベクター付随の情報をご確認ください。
■ 組換え大腸菌の調製
大腸菌回収後は氷上で操作します。
1. 寒天プレート上の大腸菌コロニーを2 mLのLB (Mg)+50 ug/mLアンピシリン培地に植え、一晩培養する。
2. その培養液200 uL を40 mLのLB (Mg)+25 ug/mLアンピシリン培地に植える。できれば枝付きフラスコを使用する(フタを開けることなく培養中の菌濃度を測定できるので)。
3. 30℃、160 rpmで震盪培養する。
4. OD600がおおよそ0.2 になったら400 uLの0.1 M IPTGを加える。
5. 30℃、90 rpmで震盪培養する。
6. 6時間後、培養液を50 mLチューブに移す。
7. 3,000 rpm、4℃、10分の遠心により上清を分離する。
8. 沈澱を10 mLのPBSにけん濁する。
9. 3,000 rpm、4℃、10分の遠心により上清を分離する。
10. 沈澱を0.6 mLのTPBSにけん濁する。
11. けん濁液を1.5 mLチューブに移す。
12. -80℃で保存する。
■ 組換え大腸菌の破砕物の調製
保存までは氷上で操作します。
1. 保存した大腸菌けん濁液に次のものを加える。
0.5 uL 1 mg/mL leupeptin
0.5 uL 1 mg/mL pepstatin A
10 uL 100 mM PMSF
2. [30秒/30秒]インターバル3サイクルの超音波により大腸菌を破砕する。
3. 15,000 rpm、4℃、10分の遠心により上清を分離する。
4. 上清を130 uLずつ1.5 mLチューブに取り分け(5本)、-80℃保存する。
5. 残っている上清の20 uLを1.5 mLチューブに取り分け、20 uLの2x Laemmli sample bufferを加える。
6. 95℃、5分間、保温し、氷上で冷却する。
7. その2 uLを10%アクリルアミドSDS-PAGEで電気泳動する(ゲル2枚分)。
8. 一方のゲルはCBB染色により解析する。
9. もう一方のゲルから蛋白質をPVDF膜に転写する。セミドライ法を1.5 mA/cm2の電流で1時間行う。
10. 蛋白質を転写したPVDF膜をウエスタンブロッティングで解析する。
■ 上記の手順は、用いる機器、遺伝子発現ベクター、タグの種類あるいは用いる試薬のロット等によって条件が異なる場合があります。培養時間、温度やIPTG添加量は、目的組換え蛋白質の収量や分解度を目安に検討して下さい。超音波破砕は溶液の透明度を目安にして下さい。
Reagents
TPBS | 1% triton X-100 in 1x PBS. |
LB (Mg) | 1 L |
MgSO4-7H2O | 2 g |
NaCl | 5 g |
Bacto yeast extract | 5 g |
Bacto trypsin | 10 g |
2x Laemmli sample buffer | final | 5.0 mL |
10% SDS | 2% | 1.0 mL |
0.5 M tris pH 6.8 | 60 mM | 0.6 mL |
80% glycerol | 10% | 625 uL |
1% BPB | 0.01% | 50 uL |
2-ME | 0.7 M | 250 uL |
10x Laemmli EP buffer | 1 L |
glycine | 144.2 g |
tris-base | 30.2 g |
SDS | 10.0 g |
Transfer buffer | final | 1L |
glycine | 192 mM | 14.4 g |
tris-base | 25.2 mM | 3.05 g |
methanol (optional) | 20% | 200 mL |
SDS (optional) | 0.05% | 0.5 g |
(2006.01.30 T.M.)