発現ベクターの使用

GFP発現ベクターpCMFlag_EGFP (RDB06071)ならびにlacZ発現ベクターpCMFlag_lacZ (RDB06072)をCos-1細胞に遺伝子導入し、顕微鏡観察によるX-galの活性染色とGFP蛍光の観察、ならびにウエスタンブロットによるGFP、b-galおよびFLAGの検出例を記載しています。

顕微鏡観察によるGFPならびにlacZの検出

  1. あらかじめ12-wellプレートに培養し90%コンフルエントとなったCos-1細胞に、遺伝子導入試薬Lipofectamine 2000 (Invitrogen) を使用してプラスミドを導入した。

    遺伝子導入手順 (wellあたり)
    A. Lipofectamine 2000 (Invitrogen), 4 uL plus OptiMEMI (Invitrogen) 500 uL
    B. DNA 1.6 ug plus OptiMEMI 500 uL
    上記A B を混和後、培養液と入れ換えた。
    6 hr後、通常の培養液と入れ換えた。

  2. 遺伝子導入24時間後、PBS(-)で2回洗浄した。
  3. 0.25% グルタルアルデヒドを500 uL/well添加した。
  4. 4℃でover nightインキュベーションした。
  5. PBS(-)で5回洗浄した。
  6. X-gal染色溶液を500 uL/wellずつ添加した。

    X-gal染色溶液
    50mM フェリシアン化カリウム 300 uL
    50mM フェロシカン化カリウム 300 uL
    1M MgCl2 0.6 uL
    20mg/mL X-gal 150 uL
    PBS(-) 750 uL

  7. 37℃で4hr保温した。
  8. PBS(-)で2回洗浄した。
  9. 顕微鏡明視野ならびに蛍光下で観察した。

 

Detection under microscope
pCMFlag_EGFP (RDB06071) pCMFlag_lacZ (RDB06072)
fluorescent image
X-gal staining

 

ウエスタンブロットによるGFP、beta-galactosidaseならびにFLAGタグの検出

  1. あらかじめ12-wellプレートに培養し90%コンフルエントとなったCos-1細胞に、遺伝子導入試薬Lipofectamine 2000 (Invitrogen) を使用してプラスミドを導入した。
  2. 遺伝子導入手順 (wellあたり)
    A. Lipofectamine 2000 (Invitrogen), 4 uL plus OptiMEMI (Invitrogen) 500 uL
    B. DNA 1.6 ug plus OptiMEMI 500 uL
    上記A B を混和後、培養液と入れ換えた。
    6 hr後、通常の培養液と入れ換えた。

  3. 導入後24時間に100 uLのRIPAバッファーで細胞を回収し、同量の2x Laemmli sample bufferを加えた後に95℃5分加熱し、蛋白質を調製した。
  4. SDS-PAGE (12%アクリルアミド)により10 uLの調製蛋白質を泳動後、PVDF膜 (Roche)に転写した。
  5. 膜を5%スキムミルクでブロッキング後、4℃で一次抗体とover nightインキュベーションした。
  6. 一次抗体
    GFP… anti GFP (FL), rabbit (1,000 倍希釈; Santacruz Bio technology, sc-8334)
    beta-gal… anti beta-gal, rabbit (1,000 倍希釈; Cappel, 55976)
    FLAG… anti-FLAG M2 Monoclonal Antibody (5,000 倍希釈; SIGMA, F-3165)

  7. PBS-Tで10分x3回洗浄した。
  8. 一次抗体反応の膜を室温で二次抗体と1時間インキュベーションした。
  9. 二次抗体
    GFP & beta-gal… anti rabbit IgG-HRP (NEB)
    FLAG…anti mouse IgG (H&L)-HRP (BioRad)

  10. PBS-Tで5分x3回洗浄した。
  11. ECL試薬 (Pharmacia)ならびにLas3000 (Fuji-Film)によりシグナルを検出した。

 

Detection by Western blotting
with anti-gfp with anti-FLAG with anti-galactosidase
lanes 1 and 2, pCMFlag_EGFP (RDB06071); lanes 3 and 4, pCMFlag_lacZ (RDB06072)

 

ウエスタンブロットによるFLAGタグの検出

  1. あらかじめ24-wellプレートに培養し90%コンフルエントとなったCos-1細胞に、遺伝子導入試薬Lipofectamine 2000 (Invitrogen) を使用してプラスミドを導入した。

    遺伝子導入手順 (wellあたり)
    A. Lipofectamine 2000 (Invitrogen), 2 uL plus OptiMEMI (Invitrogen) 50 uL
    B. DNA 0.8 ug plus OptiMEMI 50 uL
    上記A B を混和後、培養液と入れ換えた。
    さらにwellあたり100 uL OptiMEMI を加えた。
    6 hr後、通常の培養液と入れ換えた。

  2. 導入後48時間に50 uLのRIPAバッファーで細胞を回収し、同量の2x Laemmli sample bufferを加えた後に95℃5分加熱し、蛋白質を調製した。
  3. SDS-PAGE により10 uLの調製蛋白質を泳動後、PVDF膜 (Roche)に転写した。
  4. 膜を5%スキムミルクでブロッキング後、4℃で一次抗体とover nightインキュベーションした。

    一次抗体
    FLAG… anti-FLAG M2 Monoclonal Antibody (5,000 倍希釈; SIGMA, F-3165)

  5. PBS-Tで10分x3回洗浄した。
  6. 一次抗体反応の膜を室温で二次抗体と1時間インキュベーションした。
  7. 二次抗体
    FLAG…anti mouse IgG (H&L)-HRP (BioRad)

  8. PBS-Tで5分x3回洗浄した。
  9. ECL試薬 (Pharmacia)ならびにLas3000 (Fuji-Film)によりシグナルを検出した。

(2013.11.03 T.M.)

培養細胞のライセートの調製

■ ウエスタンブロッティングないし免疫沈降などに利用するライセートの調製方法です。必ず氷の上で冷やしながら操作してください。
■ ウェブ上の「ラボマニュアル」には、バッファーを二種類、Lysis bufferとRIPA bufferを示しました。免疫沈降にはSDSが入っていないRIPA bufferが合います。SDS-PAGEによるウエスタンブロッティングに用いるだけであればLysis bufferを使います。タンパク質分解酵素阻害剤 (protease inhibitor)の種類は、ライセートを用いるその後の実験により選択してください。また、脱リン酸化阻害剤、脱SUMO化阻害剤 (de-SUMOylation inhibitor)を実験に応じて選択します。
■ 以下に手順をお示ししますが、用いる機器、細胞、あるいは用いる試薬のロット等によって条件が異なる場合があります。
■ サンプルの調製
1. 細胞を6-wellプレートに培養する。
2. プレートを氷上に置き冷やしながらPBS(-)で2回洗う。
3. PBS(-)を除き、150 ulのLysis bufferまたはRIPA bufferを細胞にかける。
4. 氷の上で冷やしながらプレートをよく揺すり細胞をけん濁する。
5. 細胞とバッファーを1.5 mlマイクロチューブに移す。
6. マイクロチューブを氷上で15分間冷やす。
7. 15,000 rpm、4℃、10分の遠心により上清を分離する。
8. 分離した上清を新しいチューブに分取し、-80℃に保存する。
■ 「どんな場合これが最適」というプロトコールはありません。培養細胞ライセートの調製に関してはネット上でも様々なプロトコールを入手することができます。ここに示した方法もその一つと考えてください。細胞の種類や量、培養の状態や用いる試薬に依存して操作の適切な条件は異なりますので、使用する試薬量やインキュベーション時間を変えて予備実験を行い、実験を個別に最適化する必要があります。また、「量の効果」、すなわち同じ濃度の試薬を使っていても反応容量が違うために結果が異なること、がありますので、大量調製には注意が必要です。予備実験は本番と同じ反応容量で行うことが原則です。予備実験の10倍量が必要であれば、10倍容量の1本の反応を行うのでなく、同一容量の10本の反応を行うことをお勧めします。(T.M.)

RIPA buffer final 40 mL
10% NP-40 1% 4.0 mL
sodium deoxycholate 0.25% 0.1g
0.25 M EDTA, pH 8.0 1 mM 160 uL
1 M tris, pH 7.8 50 mM 2.0 mL
5 M NaCl 150 mM 1.2 mL

Add an appropriate volume of inhibitor.


Lysis buffer final 40 mL
10% SDS 0.1% 0.4 mL
10% NP-40 1% 4.0 mL
sodium deoxycholate 0.5% 0.2g
0.25 M EDTA, pH 8.0 1 mM 160 uL
1 M tris, pH 7.8 50 mM 2.0 mL
5 M NaCl 150 mM 1.2 mL

Add an appropriate volume of inhibitor.


Protease inhibitor final 40 mL
100 mM PMSF 1 mM 0.4 mL
1 mg/mL leupeptin 1 ug/mL 40 uL
1 mg/mL pepstatin A 1 ug/mL 40uL

de-SUMOylation inhibitor final 40 mL
1 M NEM in ethanol 1 mM 40 uL

(Mail News 2006.09.21 掲載記事より)


2018.03.04

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