NRCD Human cDNA Clone

NRCD Human Full-Length cDNAクローンの概要

NRCD Human Full-Length cDNAクローンセットは、ヒト網膜細胞のトランスクリプトーム解析を目的として国立障害者リハビリテーションセンター研究所 (NRCD)の加藤誠志博士のグループによって作製されました。7,067遺伝子、39,643クローンです。

本クローンセットの特徴:

  1. キャップ付加部位からポリAテールまでの全長配列を含む完全長cDNAであるベクターキャッピング法を用いて作製された完全長cDNAには、5’端にキャップ依存的にGが一個挿入されるので、Gの有無によって完全長かどうか判定できる(Kato, S. et al., 2005)。
    本クローンセットに含まれるクローンは、この完全長の要件を満たしている。
  2. 人工的な変異や欠失が少ないcDNA合成工程にPCR反応や制限酵素処理を含まないので、これらの処理によって生成されることの多い、変異や欠失を含む可能性が極めて低い。
  3. 希少遺伝子や超長鎖遺伝子を含む出発材料のmRNAが微量で済むので、mRNAの発現量や長さによるバイアスがかからず、希少遺伝子や超長鎖遺伝子の完全長cDNAが合成される。
    実際、7kbp以上のインサートを有するクローンを多数含んでおり (Kato, S. et al., 2005; Oshikawa, M. et al., 2008, 2011)、これまでに同定された最長のクローンは13kbpであった (Oshikawa, M. et al., 2011)。
  4. 多くのバリアントを含む
    前項と同じ理由により、希少遺伝子も効率良くクローン化されるので、希少遺伝子であっても転写開始点・スプライシング・ポリA付加部位が異なる多くのバリアントを含んでいる (Oshikawa, M. et al., 2008, 2011)。
  5. cDNAの向きが一定であるベクタープライマーを使用しているためcDNAインサートの向きが一義的に決まる。
    従って、アンチセンス遺伝子由来のcDNAの同定が容易にできる (Oshikawa, M. et al., 2008, 2011)。

RNAソース:
ARライブラリー:ヒト網膜色素上皮細胞株ARPE-19 (CRL-2302, ATCC)
RBライブラリー:ヒトレチノブラストーマ細胞株Y79 (HTB-18, ATCC)

完全長cDNA合成法:
ベクターキャッピング法(V-キャッピング法, Kato, S. et al., 2005, 2011)

使用ベクター:
pKA1 (Kato, S. et al, 1994)に由来する下記のベクター
pKA1U5 (accession no. AB191256 (map of pKA1U5), Kato, S. et al., 2005)
pGCAP1 (accession no. AB191257 (map of pGCAP1), Kato, S. et al., 2005)
pGCAP10 (accession no. AB371573 (map of pGCAP10), Oshikawa, M. et al., 2008)

完全長cDNAの5’端配列の特徴:
各ベクター(小文字)と完全長cDNA(大文字)の境界の配列を下記に示す。ベクター配列とcDNA 5’端配列の間に、1個のG(赤字)が挿入されるが、Gの前に何かしらの塩基 (単独または複数のT, 単独のGが多い) が挿入される場合もある(Kato, S. et al., 2005)。ベクタープライマー作製時、制限酵素処理が完全でないために、余分なベクター配列が残存する場合がある (Kato, S. et al., 2011)。ポリAの下流にNotI部位がある。
pKA1U5 (EcoRI site is underlined):
…(vector)..tatagggaattccacccccctggtggat-G-GCTCT..(cDNA)…

pGCAP1 (EcoRI site is underlined):
…(vector)..tatagggaattccttaagattt-G-GCTCT..(cDNA)…

pGCAP10 (SwaI site is underlined):
…(vector)..tatagggaatttaaatgaatt-G-GCTCT..(cDNA)…

References:
これらのヒト完全長cDNAクローンの開発と解析の研究成果は、下記論文で発表されています。

  1. Kato, S. Identification of genuine alternative splicing variants for rare or long-sized transcripts. In: DiMaggio S. and Braschipp E. eds. New Developments in Alternative Splicing Research. New York, Nova Biomedical. p.89-108, 2013. [pdf]
  2. Oshikawa M, Tsutsui C, Ikegami T, Fuchida Y, Matsubara M, Toyama S, Usami R, Ohtoko K, Kato S. Full-length transcriptome analysis of human retina-derived cell lines ARPE-19 and Y79 using the vector-capping method. Invest Ophthalmol Vis Sci. 52 (9), 6662-6670, 2011.
  3. Oshikawa M, Sugai Y, Usami R, Ohtoko K, Toyama S, Kato S. Fine expression profiling of full-length transcripts using a size-unbiased cDNA library prepared with the vector-capping method. DNA Res. 15 (3), 123-136, 2008.
  4. Kato S, Oshikawa M, Ohtoko K. Full-length transcriptome analysis using a bias-free cDNA library prepared with the vector-capping method. Methods Mol Biol. 729, 53-70, 2011.
  5. Kato S, Ohtoko K, Ohtake H, Kimura T. Vector-capping: a simple method for preparing a high-quality full-length cDNA library. DNA Res. 12 (1), 53-62, 2005.
  6. Kato, S., Sekine, S., Oh S., Kim, N., Umezawa, Y., Abe, N., Yokoyama-kobayashi, M., Aoki, T. Construction of human full-length cDNA bank. Gene 150, 243-250, 1994.

クローンの検索

  • 検索窓からクローン名を検索してください (ヒト遺伝子検索)

依頼の概要

依頼に必要な書式

  • 書式A (遺伝子材料提供依頼書)
    書式A (遺伝子材料提供依頼書) [Word] [依頼書の記入例]1部
  • 生物遺伝資源提供同意書、MTA
    生物遺伝資源提供同意書(書式C, MTA ) 2部
    • MTAには、個々のクローン名の記載は不要です
    • 利用条件はMTAにあらかじめ記載されています。
  • 書類の送付とお問い合わせ
    書類手続きにつきましては、PDFでの取り交わしを推奨しています。

    • PDFでの取り交わしの可否については、事前にご所属の知財担当部署にご相談ください。
      カラースキャンしたPDFファイルをemailにてお送りください。

    • 公印押印済みMTAの原本(書面)の返送をご希望の場合は、原本(書面)2部を当室へお送りください。なお、書類の返送に係る送料をご負担いただきます。

    • 書類をPDFで取り交わす場合でも、締結済み書類の返送が別送となりそれに係る送料をご負担いただく場合がございます。
      例) 書類返送が別送となる場合の例
      1. 冷凍品(ゲノムDNA)や組換え体など、リソースを宅配便で配送する場合
      2. リソースとは別の部署への書類の返送をご希望の場合
      3. リソース発送前に書類返送をご希望の場合

    • 書類の送付先、問い合わせ先
      〒305-0074  茨城県つくば市高野台3-1-1
        理化学研究所バイオリソース研究センター (BRC)
        遺伝子材料開発室
        E-mail: dnabank.brc@riken.jp
        TEL: 029-836-3612 (平日の9:00~12:00 / 13:00~17:00)

    • 提供申込の前に、「申込書類の記入と送付」「ご利用にあたって」「遺伝子材料の品質管理」をご覧ください。

    • 書式の詳細は「申込みに必要な書式」をご覧ください。

提供形態

  • DNA(約1μg)
  • 備考

    提供前にプラスミド全長の配列確認をします。
    発送まで2週間のお時間を頂きます。ご了承下さい。

提供手数料

提供手数料(1本当り)

非営利学術目的利用9,460円
営利目的利用18,920円
  • 2023年4月1以降の提供手数料です。
  • 「非営利学術目的利用」および「営利目的利用」の区分ならびに「提供手数料」は、「提供手数料と支払方法」をご参照ください。
  • 別途、リソースの送料並びに箱代及びドライアイス代等が加算されます。
  • 請求書は提供依頼書に記載された「担当者」に送付いたします。特別な様式の請求書・納品書・領収書を必要とされる場合は、予めその旨をご相談いただくようお願いいたします。請求書は遺伝子材料とは別に送付いたします。
  • 提供手数料は指定の銀行口座にお振込みください。振込み手数料につきましては、依頼者負担にてお願い致します。


利用条件

  1. 研究成果の公表にあたり、国立障害者リハビリテーションセンター研究所 加藤誠志博士から提供されたことを記載すること。
  2. 利用者は、研究成果の公表にあたって 文献 (Oshikawa, M. et al. Invest. Ophthalmol. Vis. Sci. 52 (9), 6662-6670, 2011)の引用を必要とする。
  3. 寄託者から要請がある場合、理研BRCは、本件リソースのリソース名、利用者名、提供先、利用目的を寄託者に報告する。

お問い合わせ先

〒305-0074  茨城県つくば市高野台3-1-1
  理化学研究所バイオリソース研究センター (BRC)
  遺伝子材料開発室
  E-mail: dnabank.brc@riken.jp
  TEL: 029-836-3612 (平日の9:00~12:00 / 13:00~17:00)

 


理研BRCのリソースを用いて成果を論文発表される場合、寄託者の指定する論文の引用に加えて、リソースが理研BRCから提供されたことを次のように記載していただくようお願い申し上げます。

(Name of BIOLOGICAL RESOURCE) was provided by the RIKEN BRC through the National BioResource Project of the MEXT/AMED, Japan.

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(GRP0059j 2015.02.06 T.M.)

2024.12.04



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