RDB_News

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■ 夏休み期間中の発送について
■ BRC-JCM保有株由来ゲノムDNA提供可能株の追加
■ バンク雑記
■ DNAバンクのちょっとした話し
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■■■ 夏休み期間中の発送について ■■■
https://www.brc.riken.jp/lab/dna/ja/news/shipment01.html
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■ 遺伝子材料は毎週水曜日に発送しておりますが、8月13日は発送のお休みを予定しています。

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■■■ BRC-JCM保有株由来ゲノムDNA提供可能株の追加 ■■■
https://www.brc.riken.jp/lab/dna/ja/JCMDNA.html
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■ 今回は以下の株由来のDNA を追加しました。
Clostridium perfringens JCM 1290T
Prevotella intermedia JCM 12248T
Prevotella nigrescens JCM 12250T
Porphyromonas gingivalis JCM 12257T
■ RIKEN BRC-JCM で培養し、遺伝子材料開発室でDNAを調製したゲノムDNAです。提供単位は、培養ロット毎に異なっております。ご注意下さい。
■ 微生物DNA提供の申込先およびお問合せ先は下記をご覧下さい。
https://www.brc.riken.jp/lab/dna/ja/JCMDNA.html

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■■■ バンク雑記 ■■■
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■  Small interfering RNA (siRNA) の作用機序のお話です。siRNA の作用機序はRNA 干渉 (RNAi) だけでないという論文がNature 452, 591-597, 2008 に発表されました。加齢黄斑変性に伴う脈絡膜血管新生(CNV) 患者に対する血管内皮増殖因子(VEGFA) や其の受容体VEGFR1 を標的とするsiRNA を投与する臨床試験が続行模索中ですが、これに対する警告です。
■ 哺乳類に存在していない遺伝子、発現していない遺伝子、ゲノムに存在しない遺伝子、血管新生促進或は抑制遺伝子を標的とする21塩基あるいはそれより長いsiRNA、及びRNAi 効果のないsiRNA、全てがVEGFA 或はVEGFR1 を標的とするsiRNA と同程度にマウスCNV を抑制したという内容です。これはオフターゲットRNAi 効果でもインターフェロン(IFN) alpha/beta の活性化による効果でもなく、Toll 様受容体3 (TLR3)、そのアダプター分子TRIF, IFNgamma, IL12 の誘導を介してCNV を抑制します。此の時の有効siRNA の長さは21塩基で、TLR3 とRNA が2:1 で複合体を形成する事、またTLR3 同士が架橋する必要があると言っております。これに対するRossi, Zamore, Kay らの興味あるコメントもありましたが (Nature Med. 14, 611, 2008)、ここ数年来の抑制だけではなく促進効果の論議もあり、siRNA が予期しない効果をひき起こす可能性もある事だけは充分認識しておいた方が良いと思います。
■ 最近の分子生物の論文はこのKnock Down 手法が当たり前のようになっているが、この非特異的siRNA による血管新生のTLR3 を介した抑制も警告の一つとして承知するべきである。いまだ機能も理解されていない核酸医薬品の臨床試験には薬理学、免疫学的観点からの注意が必要でありましょう(K.K.Y.)。

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■■■ DNAバンクのちょっとした話し ■■■
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■ DNAバンクには、クローンの情報の問い合わせ以外にも、さまざまな質問が寄せられます。遺伝子組換え実験に関する質問もその一つです。今回は、プラスミドと培養細胞を使った「遺伝子組換え培養細胞実験」と「動物への接種」について、文科省のホームページ「遺伝子組換えに関するQ&A」より抜粋しました。ここで言う「法」とは「遺伝子組換え生物等規正法」のことです。
■ 遺伝子組換え培養細胞実験は、プラスミドベクターなどを用いて遺伝子導入をする場合、次のように解釈されます。まず、培養細胞は、核酸を移転し又は複製する能力を有しないものであることから、法で言う生物としては扱われません。そこで、組換え技術で得られたプラスミドを有したとしても遺伝子組換え生物等には該当しません。(ただし、プラスミドベクターを培養細胞に導入することによって組換えウイルスを産生させる実験は法で言う遺伝子組換え実験になります。また、プラスミドを大腸菌で増幅する場合は、大腸菌が遺伝子組換え生物となり、これも法で言う遺伝子組換え実験になります。)
■ 一方、そのようにして得られた遺伝子組換え細胞を動物に接種すると、その動物は培養細胞を介して間接的に「遺伝子組換え技術等により得られた核酸」すなわちプラスミドを有する生物となり、その実験は遺伝子組換え実験になります。遺伝子組換え細胞が、法で言う遺伝子組換え実験に該当しないことから、「その細胞を動物に導入しても遺伝子組換え動物を作製したことにならない」という誤解があるようですのでお気をつけ下さい。
■ 「遺伝子組換えに関するQ&A」の2-6(下記質問参照)には、KOマウスから単離・摘出した細胞は遺伝子組換え生物等には該当しないことが書かれていますが、同時にその細胞をマウス個体に再び導入すると、上記のごとく遺伝子組換え実験になります。KOマウスが、「遺伝子のある領域を無くしたマウス」ということだけに着目すると、遺伝子導入されていることを見落としますが、代わりに何らかのマーカー遺伝子が入っていることをお忘れなく。一方、Cre-loxP システムでマーカーを除いた場合でも、loxP 配列は残り、遺伝子導入されていることになりますので、ご注意ください。
■ 詳細が下記のQ&Aにまとめられていますので、ご覧下さい。
2-3 培養細胞に遺伝子導入を行う場合、遺伝子組換え実験として扱われるのでしょうか。
2-4 遺伝子組換え培養細胞を用いた実験は遺伝子組換え実験として扱われるのでしょうか。
2-6 ノックアウト(KO)マウスなどから単離・摘出した細胞や臓器を用いて実験を行う場合、遺伝子組換え実験に該当するのでしょうか。
2-7 遺伝子組換え培養細胞をマウスなどの動物に接種する場合、生殖系列に培養細胞が入らなければ、仮にマウスが自然環境に出たとしても、生物多様性への影響はないと予想されます。このような実験も、遺伝子組換え実験に相当するのでしょうか。
2-8 遺伝子組換え培養細胞をマウスなどの動物に接種しても、それ自体が定着や増殖をしない場合には、マウスは遺伝子組換え生物等として取り扱われるのでしょうか。
■ 文部科学省>遺伝子組換えに関するQ&A>遺伝子組換え生物等・遺伝子組換え実験
http://www.lifescience.mext.go.jp/bioethics/anzen_faq/anzen_faq.html?b=42&l=117
(T.M.)

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発行
理化学研究所・バイオリソースセンター
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2008.07.18



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