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■ 第40回日本発生生物学会・第59回日本細胞生物学会合同大会
■ 第13回日本遺伝子治療学会総会
■ バンク雑記
■ DNAバンクのちょっとした話し
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■■■ 第40回日本発生生物学会・第59回日本細胞生物学会合同大会 ■■■
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■ 第40回日本発生生物学会・第59回日本細胞生物学会合同大会が2007年5月28日~30日に、福岡国際会議場において開催されました。理研バイオリソースセンター・遺伝子材料開発室は細胞材料開発室、実験動物開発室と合同でパネル展示を行い、パンフレットなどの配布をしました。
これまで発行したメールニュースの「DNAバンクのちょっとした話し」を印刷した「Technical notes 」100部と「組換えアデノウイルス作製マニュアル~ 完全長ゲノム導入法 ~」50部も一緒に配布したところ、予想外に好評で、すべて無くなりました。また、ブースにもたくさんの方においで頂き、ご質問やご意見を頂くことができました。ありがとうございました。
第40回日本発生生物学会・第59回日本細胞生物学会合同大会
会 期:2007年5月28日(月)~30日(水)
会 場:福岡国際会議場
http://www.aeplan.co.jp/jsdb-jscb2007/
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■■■ 第13回日本遺伝子治療学会総会 ■■■
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■ 第13回日本遺伝子治療学会総会が、2007年6月28日~30日に、愛知県がんセンターにおいて開催されます。理研バイオリソースセンター・遺伝子材料開発室は細胞材料開発室、実験動物開発室と合同でパネル展示を行います。「Technical notes 」と「組換えアデノウイルス作製マニュアル~ 完全長ゲノム導入法 ~」のマニュアル集も配布予定です。ぜひ、お立ち寄りください。
第13回日本遺伝子治療学会総会
会 期:2007年6月28日(木)~30日(土)
会 場:愛知県がんセンター
詳細はこちら
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■■■ バンク雑記 ■■■
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■ 平成19年5月後半、例年のごとく講義や講演をかねて上海の生物化学細胞生物化学研究所や復旦大学遺伝学研究所を訪問してきた。そこで少し気になった事があるので書き留めたい。
■ 研究所のPI や教授らは良い仕事、評価される仕事を目標に黙々と研究をしている。この傾向はここ数年で特に強化されているようであり中国科学院の一つの目標なのかもしれない。もちろん指導者も学生も中国全土からの優秀な人材がここに集まるわけであり,国の期待を一身に集め「世界をリードする中国」をアピールする事が大切である事は頷ける。ある研究所ではインパクトファクター10以上の雑誌に投稿する事を毎年ノルマとして課せられているとも聞く。
■ 本当に猛烈な競争社会と成ってきており独創性を重んじる学問より、世間受けする学問を目指す用に成ってきつつ有る事に、学問の行く末を思うと一抹の不安を抱く。成果主義のため米国とのかけ持ちの教授達も多い。生物の分野では一流雑誌に投稿された論文のその殆どに中国人の名前が見受けられる。人口の比率を考えると当然の結果かもしれないが?ただ独創性の有る仕事となると論文数の割には少し少ない様に個人的には思う。その点では英国を初めとする欧州の研究思想をもう少し取り入れてみるのも良いのかもしれない。学問を生かす為にも学問の多様性を考慮する事が大切であろう。少、中、高、大学の教育が本当に大切である事、その「種」を植える為の努力が英国をはじめとする欧州との差かもしれない。日本も同様の事が言えるので少し行く末を危惧している。
■ その後すぐ、福岡での合同発生細胞生物学会へ参加した。ほとんどの講演が英語であり国際色豊かになったと実感する。若い人達は英語も上手で外国人研究者に負けずに議論しており頼もしく思う。独創性という点からも基礎から応用、そしてリソース整備と雑多な演題を網羅しており良くまとまっている印象を受けた。やはり独創性が次世代の新しいブレークスルーを産むdriving force と成る訳であり大切にしたい。と同時にそれを培う「教育」が一番大切である。資源の無い日本は台湾、シンガポール同様、「人材教育」が世界で生き残る為の切り札となろう。バンク事業も同じであり、永続的な「柿の種」をしっかり我が国に植え付ける事が永続的な科学立国の基盤を築く。 (K.K.Y)
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■■■ DNAバンクのちょっとした話し ■■■
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■ 安全保障貿易管理の第2回です。
■ もはや生物ではないDNA が刑事罰にどういう関係があるのでしょうか。輸出の際に気を付けるべきは検疫ばかりではありません。「安全保障貿易管理」すなわち「武器、大量破壊兵器等の開発製造のための機材、関連汎用品の輸出や関連技術の提供には、経済産業大臣の許可が必要である」ということです。言うまでもなく、国際的な平和及び安全を維持するための決まりごとであり、これに違反すると刑事罰の対象となるのです。個人への罰則ばかりか、「行政罰 (行政制裁): 3年以内の貨物輸出・技術提供の禁止」があることもご記憶ください。違反した該当者のみならず、機関全体に課せられるため、組織としては大打撃を受けます。
■ 大臣の許可が必要かどうかを知るために、少なくとも次の二つのこと、<用途と相手(キャッチオール規制の観点)>と<そのものが何であるか(リスト規制の観点)>を確認しなければいけません。「用途」は、言うまでもなく何に使われるかということです。送ったものが大量破壊兵器の製造に使われると知っていて輸出することは許されません。それだけでなく、何に使われるか知らずに輸出することも許されません。<何に使いますか?>ということをあらかじめ相手に聞き、用途を確認しなければいけません。また、「相手」は国あるいは企業、組織あるいは機関のことです。送る相手が規制の対象になっていないかどうかも確認しなければいけません。
■ 「キャッチオール規制」については判断が比較的容易ですので、経済産業省安保HP ホームページ (http://www.meti.go.jp/policy/anpo/) から「キャッチオール規制」をクリックしてお進みください。<そのものが何であるか(リスト規制の観点)>は、気をつけることが多く、貨物についての判断が難しいことが多いのです。
■ 「まさかDNA から爆弾を作るのですか?」たしかに輸出貿易管理令別表第1 (http://www.meti.go.jp/policy/anpo/kanri/sinsa-unyo/gaihihanntei-tejyun/yusyutsu-betsu1/y1-3.htm) を見ると、「大量破壊兵器」と聞いて想像できるものがずらりと並んでいますし、生物学分野のものは関係なさそうに思えます。ところが、「生物兵器」ではどうでしょう?それそのものが病原性を持つバイオセーフティーレベルの高いウイルスや細菌を思い浮かべるかもしれません。もちろんそれらは表に示されています。しかし、その別表第1の「3の2(1) 軍用細菌製剤の原料(2条の二1)」には「軍用の細菌製剤の原料として用いられる生物、毒素若しくはそのサブユニット又は遺伝子であつて、経済産業省令で定めるもの」というように、DNA もちゃんと含まれています。
■ さてここからは、ものの話ばかりではなく、ものと情報を一緒に考えます。また以下では、海外に出て行くものを技術と貨物の二つのものとしています。どちらの単語も、我々が普段考えているよりも広い範囲で使っています。「貨物」というと、何百キログラムもある大きなものを想像しますが、ここでは<DNA の溶液1滴>でも貨物に含まれています。
■ 研究であれば何をしても自由であった、ということではありませんが、平成17年4月1日付けで経済産業省から、「大学等における輸出管理の強化について(平成17・03・31貿局第1号)」が出されました。
http://www.meti.go.jp/policy/anpo/kanri/bouekikanri/daigaku/050401univ.html
■ そこでは、我が国は「大量破壊兵器等に関連する貨物の輸出や技術の提供については、国際的協調の下に、外国為替及び外国貿易法(外為法)に基づき、厳格な輸出管理を行ってきて」おり、「先端の研究開発を行う大学や公的研究機関におきましても、効果的な輸出管理を行う必要性が高まってきて」いることから、「不用意に、大学等が大量破壊兵器等に関連する貨物の輸出や技術の提供を行うことがないよう」努めたい、と書いています。
■ この参考資料として、「大学・研究機関における安全保障貿易管理について」をあげています。
http://www.meti.go.jp/policy/anpo/kanri/bouekikanri/daigaku/reference.html
次の例を見てください(上記ページからの引用)。
<許可が免除される「公知の技術提供」の例>
○学会誌、公開特許情報、公開シンポジウムの議事録等、不特定多数の者が入手可能な技術の提供
○講演会、展示会等において不特定多数の者が入手又は聴講可能な技術の提供
○学会発表用の原稿又は展示会等での配布資料の送付、雑誌への投稿等
<許可が免除される「貨物の輸出」の例>
○海外出張等の際、一時的に海外にパソコンを持ち出して個人的に使用する場合
○輸出される貨物の金額が少額の場合(貨物や輸出先によって異なりますのでご注意下さい。)
■ 上記の例で見ていただきたいのは、「持ち出すパソコン」が、「本来なら許可が必要だけど、特例として免除する」だけということです。また、「金額が少額の場合」も、<規制の対象にはなるが条件によっては許可申請をしなくてもよい場合がある>という程度の意味合いしかないことです。どんなに小額であっても、生物兵器に利用されうる毒素遺伝子のクローンは、免除対象にはなりません。このように、技術も貨物も、とても広い範囲をカバーしていることがうかがえます。翻って、こんなものまで規制の対象になるのか、ということが含まれている可能性が大きいために確実な確認作業が必要です。
■ また、注意すべきものとして、「当然のことながら、上述の特例規定が適用されない場合については、個人や大学・研究機関等であっても輸出等を行う場合には許可申請が必要です。特に、以下のような場合には、安全保障貿易管理に係る許可申請の必要性を念頭においていただき、かかる貨物等が規制対象貨物等であるか否かを十分に精査いただいた上で、許可が必要な場合には事前に経済産業省までご相談・許可申請してください。」と呼びかけています。
<注意すべき「技術の提供」の例>
○海外の共同研究先等又は個別の研究者への技術資料・プログラム等の提供
○日本の研究機関での研究員、留学生、研修生等の受入れに伴う技術の提供
○海外の研究機関に対する特許使用許諾に伴うノウハウ等の提供
○日本の研究機関における研究室の見学時の技術の提供
<注意すべき「貨物の輸出」の例>
○海外の研究機関への装置等の送付
○海外で開催される学会・シンポジウム等への装置等の出品
○海外の共同研究先又は個別の研究者への試料・試作品等の送付、装置等の貸与
○海外出張時に手荷物として持ち出す試料・部品・試作品・測定機器等
■ これらはホームページに掲載されていた例です。装置の海外移動はしばしばあることでは有りませんが、それ以外は日常ありそうなことばかりです。このように、「日常ありそうなこと」が規制の対象となり得るためか、平成18年3月24日、文部科学省から「大学及び公的研究機関における輸出管理体制の強化について(依頼)(17文科際第217号)」が出されました。
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/gijyutu/gijyutu8/toushin/06082811/015/001.htm
■ 上記のくり返しになりますが、「研究過程における海外の研究者とのデータや試料の交換等は、それが不特定多数の者が入手可能なものでない限り、許可申請の対象となりうるため、注意を要すること。」を呼びかけています。たとえば、ヒト由来の配列であっても、この文章を素直に読めば、まだ一握りの関係者のみしか知り得ない機能を持った遺伝子断片であれば、塩基配列データそのものが対象となります。「ヒトゲノム配列は公知だから、そんなことはないんじゃない?」いえ、あくまでも極端な話をすれば、ということです。(T.M.)
参考:
経済産業省安保HP ホームページ
http://www.meti.go.jp/policy/anpo/
関係法令ダウンロードコーナー
http://www.meti.go.jp/policy/anpo/kanri/kankei-horei/download/main.html
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発行
理化学研究所・バイオリソースセンター
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2007.05.07