RDB_News

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■ 平成19年度理研筑波研究所一般公開が開催されました
■ 発現クローンシリーズの追加
■ 第40回日本発生生物学会・第59回日本細胞生物学会合同大会
■ 第13回日本遺伝子治療学会総会
■ バンク雑記
■ DNAバンクのちょっとした話し
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■■■ 平成19年度理研筑波研究所一般公開が開催されました ■■■
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■ 平成19年度理研筑波研究所一般公開が、2007年4月18日、21日に理研筑波研究所において開催されました。2日間で924名の人々が訪れました。
■ 遺伝子材料開発室では、DNA を見て・感じていただくために、食品からDNA を抽出する実演とピーズ細工のDNA 模型作りを実施し、たいへん好評でした。


ビーズ模型

準備風景

ビーズ模型作成中

DNA抽出実演1

DNA抽出実演2

DNA抽出実演3

DNA抽出実演4

DNA抽出実演5

参考ページ:
https://www.brc.riken.jp/lab/animal/mailnews/nm200704_03.html

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■■■ 発現クローンシリーズの追加 ■■■
https://www.brc.riken.jp/lab/dna/ja/RDB5956_2ja.html
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■ pCMV_tagならびにpRSV_tag vectorsにヒトやマウスのcDNA を組込んだ発現クローンシリーズを公開しました。ウエスタンブロットによりタグを検出し、発現確認済みです。

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■■■ 第40回日本発生生物学会・第59回日本細胞生物学会合同大会 ■■■
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■ 第40回日本発生生物学会・第59回日本細胞生物学会合同大会が2007年5月28日~30日に、福岡国際会議場において開催されます。理研バイオリソースセンター・遺伝子材料開発室は細胞材料開発室、実験動物開発室と合同でパネル展示を行います。ぜひ、お立ち寄り下さい。
第40回日本発生生物学会・第59回日本細胞生物学会合同大会
会 期:2007年5月28日(月)~30日(水)
会 場:福岡国際会議場
詳細はこちら
http://www.aeplan.co.jp/jsdb-jscb2007/

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■■■ 第13回日本遺伝子治療学会総会 ■■■
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■ 第13回日本遺伝子治療学会総会が、2007年6月28日~30日に、愛知県がんセンターにおいて開催されます。理研バイオリソースセンター・遺伝子材料開発室は細胞材料開発室、実験動物開発室と合同でパネル展示を行います。ぜひ、お立ち寄りください。
第13回日本遺伝子治療学会総会
会 期:2007年6月28日(木)~30日(土)
会 場:愛知県がんセンター
詳細はこちら

水道修理ルート

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■■■ バンク雑記 ■■■
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■ DNA クローン、宿主、ゲノムライブラリー、cDNA ライブラリー等の品揃えをすませ、HGM 会議の席上でのD. Choen 教授との交渉も成功しヒトYAC ライブラリーも新しく加わりました。そしてどうにか遺伝子数もクリティカルマスに達し「理研DNA バンク」は新天地に向かい船出いたしました。しかしながら理研独自の遺伝子材料となると心もとありません。ヒトYAC ライブラリーしか無く命綱となる遺伝子材料の発案を緊急に迫られました。また本当にお金には困りました。バンクの人件費が75% 以上と不健全な事業形態でした。また理研の交付金のみではやっていけるかどうか不安でたまりませんでした。本当に事業経営資金の事で悩み毎夜睡眠不足が続きました。アルコールを飲んでもますます眼が冴えるという状況でした。それでもリソースバンクは大切であるとの信念がありました。研究成果は無くても研究を支えるバンク、研究を推進する高品質の遺伝子リソースを整備する事こそ自分の研究より大切であるという認識もありました。この信念のおかげか、なんとかやりくりして凌いできました。でもいま回顧しますと、本当によく持ちこたえたと思います。お金がなくマイクロアレーには手を出せませんでしたし、シークエンサーもお金がなく整備できませんでしたし、不本意ながら大切なリソースを捨てた事や、フリーザーの置き場所を強制的に移動させられ、何処において良いか判らず、場所が無く廊下に部屋を作ってもらった事など、いろいろ安全管理の人達には本当に助けられました。思い起こしますと危険は山のように有りました。でもどうにか生き延びてこられました。
■ 理研発のリソースを目指して新しく始めたのが「組換えウイルスバンク」です。私自身アデノウイルスのE1A を研究していた事もあり沢山の仲間に支えられました。まず日本で特許制限のないアデノウイルスベクターに焦点を合わせ、それに有益なcDNA を入れて提供しようと考えました。当時癌研究会癌研究所におられました濱田洋文先生や東大医科研の斎藤泉先生、そして大阪大学の宮崎純一先生にお願いし事業を開始致しました。濱田先生と斎藤先生にはウイルス調製の手順を教えていただき大変助かりました。その後、科学振興調整費を獲得し、これによって此の部門は大きく発展いたしました。其の当時の室長の大野忠夫先生の暖かい御支援や濱田先生からの大量の組換えアデノウイルスが寄託され本当に立派な組換えウイルスバンクと成りました。此の分野の立ち上げから整備まで室員の鵜飼英世君の努力無くしては語れません。また、そのデータベースも村田武英君の努力に支えられました。彼等の地道な貢献なしには世界でもユニークなこの組換えウイスルバンクの発展は無かったと思っております。
■ 遺伝子治療研究で有名な世界中の研究所から提供依頼があとをたたず、理研DNA BANK の名も知られるようになってきました。その後の活動もサイエンス誌に受理され理研遺伝子開発材料室にとっては無くてはならないリソースとなっております。また、米国NIA/NIH のKo 先生より初期発生特異的マウスのcDNA ライブラリーが寄託され、理研DNA BANK はアジアの中核機関にも選出されました。このようにいろいろな人達に助けられ「理研DNA BANK 」は成長を遂げ、今では遺伝子収集保管数では日本随一の、世界でも第二位を占める迄に成長しております。この間、「理研DNA BANK 」は理研バイオリソースセンター(理研BRC )に組み入れられ活動を発展させております。森脇先生から始まって小幡先生へとバトンが移され、今理研BRC は我が国を代表するリソース機関として皆様の暖かい支援のもとに活動を展開しております。思いますと本当にたった100株にも満たない遺伝子数から始まったバンクはこの20年間で整備され大きく成長してきました。しかしながら、今後の遺伝子バンクの将来を考えますと決して安泰という訳にはいきません。「遺伝子バンク」は常に継続性(種をまく事)、信頼性(品質管理)そして先導性(技術開発)をモットーとして将来の研究の動向を予測しつつ、地道に努力し事業を展開していく事が大切です。今後も研究者コミュニティーから尊敬と賞賛を受ける事を目標に室員一同最大限の努力をしたいと思っております。バンクと共に生きた事を誇りと思っております。また周りの人達の暖かい支援も決して忘れません。研究仲間からは研究の素晴らしさを教えられた20年でした。本当に感謝致しております。今後もますますDNA バンクが栄えます事を祈念してやみません。皆様、本当に有り難うございました。(K.K.Y.)

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■■■ DNAバンクのちょっとした話し ■■■
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■ 研究がグローバル化した昨今、研究材料の国際的なやり取りも盛んになってきております。「うちはこぢんまりやっておりますよ」とおっしゃる研究室でも、英文の論文を発表すれば、そこに記載された材料のリクエストが海外から来ます。日本語でしか発表していなくても、海外の日本人研究者からリクエストが来るかもしれません。研究者なら誰でも国外輸出の機会が訪れます。
■ クローン化したDNA の国外輸出は手技的にはとても簡単です。滅菌ろ紙にDNA をしみ込ませ、それを封筒に入れて郵送するだけです。DNA であれば生物ではないので、遺伝子組換え生物等規制法にもカルタヘナ条約にも觝触しません。しかし、ろ紙にしみこませたDNA の輸出が刑事罰の対象になっているかもしれません。また、違反した該当者のみでなく、機関全体にも行政罰が課せられるため、組織としては大打撃を受けます。
■ まず、海外に<遺伝子>を送るときにカルタヘナ条約に抵触しそうな場合を考えてみましょう。海外に精製したDNA を送るのは手軽ですが、プラスミドベースのcDNA ライブラリーや数千クローンからなるcDNA のクローンセットは、受取る側の利便性を考えると、大腸菌組換え体で送ることになります。輸出したいものが組換え大腸菌ですから、遺伝子組換え体の輸出に該当し、相手国がカルタヘナ条約加盟国である場合、条約に準じた手続きが必要です。遺伝子組換え生物等規制法第27条の「輸出の通告」以下、輸出に関する措置を執らなければいけません。
■ このほかにもあらかじめ準備しておくべき事務手続きがあります。研究用試料とはいえ品物を送るわけですから、税に関する申告も必要になります。Invoice あるいはCommercial Invoice を作成し、利用目的や値段を申告した経験がある方も居られるのではないでしょうか?書式になじみがないうちは、面倒な書類の一つです。さらにもうひとつ乗り越えなければいけないハードルがあります。研究材料である遺伝子組換え体の輸出でも、相手国の検疫で合格しなければ国に入れてもらえません。「組換え大腸菌は研究材料だから問題ないのでは?」確かに研究材料である組換え大腸菌を問題にしない国はあります。また、組換えアデノウイルスも、研究材料という理由で「アデノウイルス」それ自身を問題にしない国もあります。しかし、菌やウイルスと一緒に培地も「輸出」しているわけですから、培養中にヒトあるいは家畜に対する病原微生物が混じっていないかが問題になります。それらは材料として入っていることも考えられますし、あってはいけない話ですが、コンタミしてくる可能性もあります。とくに組換えウイルスの場合は培地、なかでも感染細胞を培養する培地に含まれる血清が問題になります。即ち、血清がウシや家畜の生物製剤であることから、海綿脳症や口蹄疫の疑いがある家畜の血液が使われていないかどうかが問われるのです。当バンクでは、ノウハウが蓄積してきたため、組換えアデノウイルスや組換え大腸菌の輸出でまごつくことは殆どなくなりました。
■ DNA で送る場合は、もはや生き物ではありませんので検疫の必要はありません。カルタヘナ条約に準じた手続きも不要です。もっとも、生き物ではなくても、DNA は生物由来産物ですので、相手によっては通関手続きで手間取ることがあります。そうならないよう、通関担当者宛の手紙を添えておくことをお勧めいたします。余談ですが、アメリカにプラスミドDNA を送った際、通関手続きで止められてしまい、それがどういうものであるかを申告する正式な手紙(理研のレターヘッドが入ったもの)を要求されたことがありました。同じ実験室内に病原性の菌を扱っている人がいないとか、家畜が研究室内にいない、と言うことを宣言することが大切です。
■ 余談のついでにもうひとつ。書類の準備は、送り手の我々だけの問題ではありません。その貨物を受け取る相手側にも準備をしてもらわなければいけないこともあります。相手から見れば培地に血清が含まれていれば動物材料の輸入になりますので、Veterinary Permission あるいはPermit to Import Quarantine Material と呼ばれる手続きをしておいてもらうことになります。輸入が厳しい国、といえばオーストラリアを想像される方も多いと思います。もちろん、オーストラリアに輸入できる品目には厳しい制限があります。しかし、その厳しさゆえに、受け取り手は、「自分がどういう準備をすればいいのか」をよく知っていますので、規制対象品以外は、むしろスムーズに送ることができます。逆に、それ以外の国では、その貨物を受け取る相手が、(相手から見て)輸入の際にしておくべき手続きを知らない場合が多く、なかなか発送に至らない場合があります。また、研究者の流動が進んでいる場合、海外からの留学生が貨物の受取人になることもあります。そういう方が留学先の国の輸入手続を知らないことは容易に想像できます。よくやり取りをする国に対しては、こちらもノウハウが蓄積してきたので解決できますが、こちらから見れば外国での話しです。相手が「どこでどういう手続きをするのかもっと詳しく教えろ」と言っても、「自分で調べてください」としか返答できないのが現状です。
■ 「さて、検疫の話しは分かったけど、どうしてDNA の輸出と刑事罰は関係あるのかな?」
輸出の際にさらに気をつけるべきは、「安全保障貿易管理」すなわち「武器、大量破壊兵器等の開発製造のための機材、関連汎用品の輸出や関連技術の提供には、経済産業大臣の許可が必要である」ということです。これに関しては、次回、お話を続けます。(T.M.)
参考:
経済産業省安保HP ホームページ
http://www.meti.go.jp/policy/anpo/
関係法令ダウンロードコーナー
http://www.meti.go.jp/policy/anpo/kanri/kankei-horei/download/main.html

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2007.05.07



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