RDB_News

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■ クローンセットの提供手数料の新設
■ 研究成果ご報告のお願い
■ バンク雑記
■ DNAバンクのちょっとした話し
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■■■ クローンセットの提供手数料の新設 ■■■
https://www.brc.riken.jp/inf/distribute/kakaku.shtml#dna
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■ 酵母 (Schizosaccharomyces pombe) ORFクローンセット(1セット約4,800株)ならびに高度好熱菌T. thermophilus HB8 蛋白質発現プラスミドクローンセット(1セット1,685株)の提供価格を新設しました。いずれのクローンセットも発送準備に時間がかかりますので、提供依頼は余裕を持ってお送りください。
■ 酵母 (Schizosaccharomyces pombe) ORFクローンセットhttps://www.brc.riken.jp/lab/dna/ja/yoshidayeast_ja.html
■ 高度好熱菌T. thermophilus HB8 蛋白質発現プラスミドクローンセットhttps://www.brc.riken.jp/lab/dna/ja/thermus_ja.html

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■■■ 研究成果ご報告のお願い ■■■
https://www.brc.riken.jp/lab/dna/ja/reflist.html
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>> バンク遺伝子材料を使った発表論文を教えて下さい!

■ ナショナルバイオリソースプロジェクト(NBRP; http://www.nbrp.jp/ )は5年間の最終年度となりました。リソースの充実と提供サービスが継続して行われるためには皆様の>>本事業<<に対するご理解とご支援が不可欠です。

>> そこでユーザーの皆様にお願いがあります。

■ 当バンクはもちろん、理研バイオリソースセンターの運営費用は国の予算により成り立っています。利用者各位が受取っておられる研究助成の成果が発表論文や特許出願で評価されるのと同様、我々バイオリソースセンターの活動も発表論文や特許出願で評価されます。

>> ただし、我々の論文発表ではなく、提供先、すなわち
>> 皆様がリソースを使って発表された論文や特許出願で
>> 評価されます。是非共ご理解ください!

■ これまでご連絡頂きました成果は下記にて公開しています。
https://www.brc.riken.jp/lab/dna/ja/reflist.html
■ 実績をアピールすることなしに、事業継続への道は開けません。評価は文部科学省が下すだけでなく、文部科学省がいかに財務省にアピールして、NBRP を継続性のあるプロジェクトとするか、ということも問われます。私達も最善をつくし努力致しますが、皆様のご協力が必要です。

>> 利用者各位が当バンクの遺伝子材料を利用し発表されました
>> 研究論文別刷りをお 送り下さい。

■ また、当バンクから提供させて頂きました材料を用いて特許申請をされた、あるいは商業化された例がありましたらご連絡下さい。利用者の成果として公開させて頂きます。皆様にぜひご賛同頂き、ご協力頂きますようお願い申し上げます。
■ 送付先
〒305-0074 つくば市高野台 3-1-1
理化学研究所・バイオリソースセンター
遺伝子材料開発室

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■■■ バンク雑記 ■■■
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■ 前回に引き続き、私がジーンバンク事業に関わりどのようにして事業を展開してきたかを綴ります。
■ 理研DNAバンクの立ち上げは大変でした。当時厚生省のバンクの責任者であられた橋本先生は事業を大々的に展開しており、特に「癌遺伝子」や「癌抑制遺伝子」群は豊富に揃えられておりました。さらには、橋本先生は自ら進んで「ヒトゲノム遺伝子」群も収集されておられました。毎年行われるゲノム研究会には必ず橋本先生が出席されており、ここでも私達は一歩遅れを取っておりました。理研DNAバンクは八方ふさがりで収集ターゲット遺伝子の選択で行き詰まっておりました。今でも橋本先生の先見性の良さとバンク事業に対する御努力には頭が下がる思いです。
■ また、理研DNAバンクは「科学技術庁の遺伝子バンク」であり、「厚生省の遺伝子バンク」とは収集遺伝子は重複してはいけない事に成っており本当に迷いました。戦略的に何を収集し、将来的に何処の分野の遺伝子を中心に収集するのかの事業計画を描かなくてはいけません。暗中模索の本当に頭の痛い話です。まずは厚生省のバンクの1/3のクリテイカルマスを確保しなくてはいけませんし、厚生省にはない遺伝子群を中心に収集活動を展開する必要も有りました。そこでクリテイカルマス確保は選定を設けないで全ての遺伝子を、理研DNAバンクに特徴の或る遺伝子としてはヒトYACライブラリーを収集しようと決めました。既に添田先生や今井先生が中心となって、ワシントン大学のDr. M. Olsonより今井先生が作成した上質のヒトYACライブラリーが入る事に成っておりました。これで特徴を出せると考えました。
■ クリテイカルマスの為にまず理研内の研究室の先生達にお願いしてみようと思い幾度か寄託のお願いを致しました。最初は全く返事もありませんでしたが何度かやって数件の返事を得ましたが残念ながら大きな支援は期待できませんでした。そこで友人や同僚、そして先輩にお願いし寄託願いを数百通も書きました。これでも解答は数件でした。次に「遺伝子の巡業」を決心いたしました。実際に会ってお願いしようと言うわけです。北から依頼の旅を始めました。東京まできてこの企画は中止になりましたが色々な先生に励ましのお言葉を頂きました。特に東北大学ではご自分の遺伝子以外にもわざわざ他の研究室にお電話をかけて頂き援助のご支援をして頂いた先生もおります。其の時のご恩を今でも鮮明に覚えております。心より感謝致しております。良い思い出です。
■ また次に行ったのは日本の学会会誌に掲載された遺伝子をお願いする事でした。分子生物学会、生化学会、癌学会、免疫学会などから始めました。これも回収率は悪く当時で2%くらいでした。300通だして5-6通です。でもこれを地道にやれば数を増やす事が出来る訳です。残念ですが、現在は人手不足のため中止しておりますが、BRCセンターに成ってもこの依頼は続けました。平均回収率は5%位に増えました。述べ数にして3500-4000通だし200通くらいの回収率でした。でも地味な努力に勝るものは有りません。でも本当にこれをやって色々な意見も有りました。研究者のほとんどは学会会誌や要旨には最新の遺伝子研究を書いており、まずすぐは寄託してくれない事を学びました。ですから要旨の中から少し古い遺伝子をお願いするのが「コツ」です。またほとんどの研究者は「何故知っているのか」とか?時には競争相手と感違いをして嫌みをいわれましたし、時には裁判で訴えるとかすごみを利かせて言われた事も有ります。学会誌会誌で公開しているのに何故知っているとか?は無いとは思いますが?研究者模様を知る事が出来良い勉強になりました。そうこうしているうちに研究室の研究員やテクニシャン達の努力のお陰でどうにか目標のクリテイカルマスを達成できました。(K.K.Y.)

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■■■ DNAバンクのちょっとした話し ■■■
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■ 市販のPCR用試薬の増幅効率が格段に上がっているとはいえ、PCRで目的のバンドが現れないことは時々経験します。テンプレートがゲノムDNAだったり、増幅領域が長かったり、GCリッチの配列が含まれる場合は条件設定が特に難しくなります。最近、ゲノミックPCRを行う機会が多くなり、失敗と成功の体験から幾つかの教訓を得ました。
■ テンプレートの条件:ゲノムDNA抽出には様々なプロトコールがありますが、特にこだわる必要はありません。フェノール-クロロホルム抽出を一回とエタノール沈澱で精製するか、または市販のゲノムDNA抽出カラムで精製しておけば十分です。PCR用のテンプレートの場合、サザンブロッティング用のゲノムDNAのように数十kbの長さを保つ必要がなく、むしろボルテクスで適度に断片化させた方が増幅しやすい感があります。RNAの大量混入はPCR反応を阻害する要因になりえますが、DNA抽出の最初のステップで組織を溶解するバッファーにRNase Aを添加していれば、問題になることはありませんでした。最も重要な点はPCR反応にテンプレートを入れすぎないことです。20μlの反応系なら5から10ngで十分です。増幅実績のある反応系でも、30ng以上のゲノムDNAを入れると何も増幅されなくなることをしばしば経験しています。バンドがまったく現れない時は、抽出の失敗でDNAが全く入っていないか(抽出したDNAが貴重で電気泳動に使う余裕がない場合)、反応に使ったDNAが多すぎると考えた方がいいでしょう。むやみにテンプレートを増やさないことが肝要です。
■ GCリッチ領域の増幅:増幅させる目的の配列の中にGCリッチ領域があると、相補鎖が結合しやすくポリメラーゼが走りにくくなるので、伸張反応の過程でいかにDNAを解離状態に保つかがポイントとなります。そのため、反応温度を高くし、高い反応温度でも利用できるTm値の高いプライマーを設計することが基本です。GCリッチ領域に限らず、ゲノムPCR用のプライマーのTm値は65℃以上に設計することが好ましいです。Tm値が65℃のプライマーセットを用いる場合、最初に60℃でのアニーリングを試します。もし、目的のバンドとともにエクストラバンドが現れたり、バンドが薄いときは、解決策としてアニーリング温度を上げることを試して下さい。これで改善されることがよくあります。アニーリングステップを省略した2ステップPCRプログラムも選択肢として考慮できます。一方、GCリッチ領域のTm値を下げるため、反応液に5から10%のDMSOを加える手法も効果がありました。このほかに、denature(変性)ステップの温度を通常より2から3℃高く設定することで問題が解決されたことも経験しています。この場合、酵素の失活を防ぐためdenatureステップの時間を短くした方が無難です。サーマルサイクラーの機種にも依りますが、我々は20μlの反応系の場合10秒くらいに設定しています。
■ 長いゲノム領域の増幅:長いDNA領域をターゲットとした時、要求されるPCR酵素の増幅効率や熱安定性が格段に高くなります。明確な閾値はありませんが、増幅領域が10kb以上の場合はLong PCR対応と謳っているPCR試薬を選ぶことをお勧めします。ただし、通常のDNAポリメラーゼ製品の中でも6から10kbの比較的長いターゲットの増幅に適用できるようにされたものがあります。最新版のPCR酵素カタログをよく読んで選んでください。さらに、「裏技」の範疇に入りますが、PCR用酵素とそれと異なるブランドのバッファーを併用することで8kb以上のフラグメントの増幅に成功したこともあります。Long PCRを行う時に限らず、反応系やPCRプログラムをいろいろ変えても複数のバンドまたはスメアな産物しか得られないこともよくあります。この場合、一回目の反応液を1/50から1/100に希釈し、nested-PCRを行うことで、予想よりもうまくいくことが多々あります。異なるプライマーセットでnested-PCRを行うのでなく、first-PCRと同一のプライマーセットをそのまま用いても、目的フラグメントのみが増幅されて明瞭な単一バンドが見えてきたことを何度も経験しています。(J.P.)

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発行
理化学研究所・バイオリソースセンター
遺伝子材料開発室
dnabank@brc.riken.jp
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2007.03.27



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