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RIKEN BioResource Center DNA Bank Mail News (電子メール版)
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■ MSM/Ms Mouse BAC clone データ検索
■ NIA Mouse cDNA Clone データ掲示
■ プロモーターアッセイデータ公開
■ 遺伝子組換え実験に関して文科省より1件
■ バンク雑記
■ DNAバンクのちょっとした話し
■ 論文紹介
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■■■ MSM/Ms Mouse BAC clone データ検索 ■■■
https://www.brc.riken.jp/lab/dna/ja/MSMbac.html
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MSM/Ms mouse BAC clone は理研ならびに遺伝研のサイトの他、NCBIのCloneFinderでも検索可能です。
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■■■ NIA Mouse cDNA Clone データ掲示 ■■■
https://www.brc.riken.jp/lab/dna/ja/NIAclones/mouse15k.html
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NIA Mouse 22K cDNA Clone のアノテーションデータを掲示しました(エクセル形式)。UniGene ID またはNCBI Locus symbol にて目的のクローンを探すことができます。
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■■■ プロモーターアッセイデータ公開 ■■■
https://www.brc.riken.jp/lab/dna/ja/promoterja.html
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平成17年度分子生物学会年会にて多数のご要望を頂きましたので、発表に用いたプロモーターアッセイデータをエクセル形式で公開しております。ダウンロードしてご利用下さい。
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■■■ 遺伝子組換え実験に関して文科省より1件 ■■■
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遺伝子組換え実験に関して、文部科学省より下記1件の報告が掲載されておりますので、ご覧下さい。
作成されたLMOにおいて病原性微生物による感染が成立しない受容体及び宿主の組み合わせについて
http://www.mext.go.jp/a_menu/shinkou/seimei/main.htm#section3
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■■■ バンク雑記 ■■■
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■ 「DNA Microarray」の最近の動向;多目的アレイ
■ 「まだDNA Microarrayですか? もう時代遅れです。」「そうですか? でも新しい活用は遺伝子発現検索だけでは無いのですよ。」いうのが今現在の研究業界での声であろう。 Affimetrix社が商用マイクロアレイを発売してからもう10年以上が経つ。今でもマイクロアレイの応用は遺伝子解析から大きく飛躍して発展を続けている。そして遺伝子発現データだけではあたらしい知見は得られずゲノムの2%のコード遺伝子に研究の焦点を当てるだけでは不十分な事は今や常識となり、非コードRNAやマイクロRNAの役割と多様性を調べる事が新しい標的となってきている。 Affimetrixの高密度DNAマイクロアレイの市場拡大の他、最近の新興企業はSplice variantや マイクロRNA解析に乗り出してきている。さらにはヒトゲノムやその他の各種モデル動物のカスタムメイドのマイクロアレイを発売する準備も進めていると聞く。
例えば低密度のカスタムアレイに乗り出したCommbiMatrix 社の4x2K CustomAraayと90,000個のオリゴが固定されたアレイーフィチャーそしてAffimetrix社のタイリングアレイが今注目を集めている。タイリングアレイは、既知の機能領域を標的とするプローブだけを含む製品ではなく、ゲノムにそって規則的な間隔で固定されたプローブによって、バイアスなしにゲノム全体をカバーするアレイである。タイリングマイクロアレイは遺伝子制御をゲニムワイドに調べる事ができ、特に転写因子結合部位やクロマチン修飾部位、DNAメチル化、染色体上の複製開始点を特定できる。650万個のプローブが固定されたフィーチャーサイズ5 umの7つのアレイからなるセットで、35 bpの分解能でヒトゲノム全体をタイリングできる。これをヒトからモデル動物にまで発展させる計画もある。一方Agilent Technologies社もガラススライド上で60mersのOligonucleotide プローブの非接触in situ 合成をおこなうための次世代インクジェットプリンテイングプローブ装置を開発中である。
■ 高密度マイクロアレイのフィーチャーサイズの小型化が進んでいる傾向と密接に結びついているのが、スキャンニング技術の向上である。Affimetrix社は分解能がマイクロメートル級の画素範囲より細かくサイズが2.5-0.51um のフィチャーをスキャンできるGeneChip Scanner 3000 7Gを発売した。このスキャンナーはタイリングや全エキソンSNPゲノタイピング研究用の全ての高分解能 「GeenChip」製品をサポートしている。 TeleCem International社の2 色検出に適した冷却励起技術を使用した「SpotLight」も好評である。フルオレセイン、ローダミン、アロフィコシアニン、臭化エチジウム、Alex染料、緑色蛍光タンパク質などの数種の変種に対応する光学フィルターセットが発売されている。その他Applied Precision社の「arrayWoRxe」, Molecular Devices社の「GenePix」, Perkin Elmer社の「ProScanArray」がある。
■ 遺伝子発現以外の用途の代表的なものにアレイベースの比較ゲノムハイブリダイゼーション(CGH) がある。遺伝子と調節領域におけるコピー数の変化につながるゲノム領域の増幅や欠失を発見し解析するためのマイクロアレイベースの製品である。 NimbleGen社のヒト全ゲノムアレイCGHはヒトゲノム全体に渡って6,000 bpおきにタイリングされた385,000 個のプローブで構成された一つのアレイである。またこの社の等温プローブ選択法の開発によって全てのセットの融解温度を76度に固定する事で、全ゲノム領域でプローブの性能を均等に保つ事ができた。これによってゲノムのコピー数をバイアスなしに比較解析する事が可能となった。最近Agilent社も同様のCGH アレイで「eArray」というウェブベースのDNAマイクロアレイ設計ツールを使って、目的のゲノム領域について高分解能でのタイリングをするためのカスタム版CGHマイクロアレイを作製している。第2の解析分野がクロマチン免疫沈降法(ChIP)とマイクロアレイ解析を組み合わせた「ChIP-chip法」である。染色体上でヒストンやポリメラーゼ、転写因子などのDNA結合蛋白質を特定する、DNAの修飾やクロマチンリモデリングの研究に使用できる。Agilent社はComputational Biology社を買収しRichard Youngと共同で新製品の開発に乗り出した。あと選択的スプライシング解析にはExonHit社とJivan Biologics社が事業と集中して展開している。 ExonHit社の「Splice Array」はエキソン由来のプローブとジャンクション 由来のプローブのプローブを使って特定の遺伝子について生じる全てのスプライシングの解析を調べることができる。ExonHit社は特に治療標的遺伝子群としての特定遺伝子ファミリー「サイトカイン」「アポトーシス経路」「核内受容体」「核内補助制御因子」「Gタンパク質共役型受容体(GPCR)」「イオンチャンネル」に照準を合わせたカスタム版とカタログ版の「Splice Array」を発売している。Jivan Biologics社の製品はゲノムワイドなスプライシングバリアント、そしてチトクロームP450, GPCR, イオンチャンネル、キナーゼ、フォスファターゼ、フォスフィジエステラーゼなどの遺伝子ファミリーのためのアレイシリーズがある。Jivan Biologics社のスプライシングアレイにはエキソンプローブが含まれていない。これと「ジャンクションプローブ」を併用すると全てのスプライシング現象を検出する事ができる。高密度製品ではAffimetirix社が、一つのチップに百万個のエキソンを固定したエキソンだけのアレイ「Human Exon 1.0 ST(センスターゲット)」アレイを発売した。これはゲノム全体についてエキソンレベルでの発現プロフィールを一つのアレイに固定したものでアノテーションのついたエキソン全部と計算で予測され、実験的に特定されたエキソンが含まれる。研究者がこの製品を使用すれば既知のスプライシング事象を調べる事ができ、新たなスプライスバリアントの発見もできる可能性もある。これをマウスやラットに広げていく予定である。今まで、マイクロアレイ技術は遺伝子の発現と制御をグローバルかつハイスループットで研究する際に広く用いられてきた。この技術はその他にもSNPの発見と有効性評価 (Nature 422, 917-922, 2003)や比較ゲノム配列解読に用いられている。マイクロアレイの用途は現在下流側にも浸透しつつあり、癌や遺伝病、代謝疾患の遺伝子臨床診断、 感染症診断や薬理遺伝学的研究に利用され始めている。今年2005年 Tm Bioscience社の体外診断用の「TagIt」嚢胞性繊維症(CF)キットはFDAの承認を受けた。またAgendia社は乳癌の進行のリスクを評価する診断検査「MammaPrint」を発売した。またAffimetrix社は「GeneChipSystem 3000Dx」を体外診断に使用する試みの手始めにRoche社との「AmpliChip CY450」を売り出した。Nanogenn 社の「nanoChip 400」, BioArray Solutions 社の「BeadsChip」アレイ、MetriGenix社 の「Flow-thru」アレイなどが試作品として市場に出ている。このように、現在DNAマイクロアレイはまだ10年しか経っていないのにその応用が多様化し、遺伝子発現を超えて体外診断へと進もうとしている道が見え始めている。
■ 我々バンカーも時代の進行を見据えて遺伝子の如何なる利用が今後大切であり、どれに焦点を絞っていかなければならないかを決定する時期にさしかかっている。でもマイクロアレイを作製するだけのコストはないしどうしたら良いのであろう。コストの軽減を目的に二桁落としてもユーザーに有効な技術開発を先取りし、ユーザーが必要とする付加価値を追求してゆくバンカーの「目」が必要であるのは明らかである。 しかしマイクロアレイの進歩はあまりに早すぎる(KKY)。
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■■■ DNAバンクのちょっとした話し ■■■
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■ 先日参加したミーティングのレポートを2回に分けてお送りします。
Target definition & vector design for molecular medicine
November 10-13, 2005
Arranged by
Michael Barry, Beylor College of Medicine
David T. Curiel, Univ. Alabama, Birmingham
Stephen Russell, The Mayo Clinic
Jan Schnitzer, Sidney Kimmel Cancer Center
Cold Spring Harbor Laboratory, Cold Spring Harbor, New York, USA.
1. Opening Day – Keynote Speaker
2. Adenovirus
3. AAV
4. Poster Session / Wine & Cheese Party
5. Invited Speaker & Breakout Session
6. RNA / Retrovirus
7. Cell Vehicle and Non-Viral
8. Imaging and Miscellaneous
■ 本来は春先に開催される予定であったこのミーティングですが、アメリカ国内の関連学会と重なったために演題が集まらず一旦中止され、11月の開催となりました。それでも、重なっている学会があるそうですが、Cold Springs Harbor Laboratory で開催すること、すでに今年のほかのCold Spring Harbor ミーティングの日程が決まっている、という制約があり、演題が集まりにくいながらも開催したということでした。
■ この会の冒頭演題の一つ、NIH National Cancer Institute のDevelopmental Therapeutics Program の話は、年間$18M という額や125人のスタッフが関わっているという圧倒的な話だけでなく、どうやってヒトに適用可能なtargeted vector の創出過程を制御するかに焦点を絞った印象的な発表でした。考慮される材料は、DNAワクチン、改変細胞、ペプチド、ウイルス、humanized antibody など多岐にわたります。これらの基礎研究レベルからclinical GMP のレベルにまで持っていかなければいけません。医療に適用されるまでの典型的な創出過程は、
・ 基礎研究で生みだされた出発材料のGMP 適応のための解析
・ 大量生産のための調査
・ 出発材料のバンキング
・ 品質検査のための手順の創出
・ 工業的生産のパイロット試験
・ 医療GMPレベルでの生産
・ クリニカルトライアルに耐えうる材料の安定性の確保
という長いステップを経ます。
また、生物材料を安定的に供給しなければいけませんから、そのためのベクターの保証、原材料のトレーサビリティー確保、諸手順の文書化が大切な要素になります。ベクターは次の観点から考慮されていなければいけません:
・ Identify: 塩基配列の確認、導入遺伝子の発現確認など
・ Purity: 生物や化学物質のコンタミ除外試験
・ Potency: 作用機序を根拠とした産出材料の効能
・ Safety: bio-distribution や毒性
GMPレベル製品の供給のためには沢山の問題も解決していかなければいけません。例えば組換えアデノウイルスでは自律増殖アデノウイルス (RCA) のコンタミが問題となりますが、それをA549 細胞などでの発生除外試験やPER.C6 などRCA が発生しにくい宿主細胞を用いること、標的化ウイルスであれば、非標的細胞での定量的PCRを用いた除外試験、生産ロット差の制御が大切な問題です。
それでは、医療への応用を見据えた基礎研究レベルでは何が大切か?
・ その材料の特性をよく理解すること
・ 材料のバンキング。実験の再現性を確保できる材料の確保と供給
・ 入手までの過程をたどることができる試薬の使用と生産に至る記録を残すこと
・ 材用を供給するために要求される試験方法の樹立
・ 冷凍庫や冷蔵庫での保存中の材料の安定性も含む安定性試験
・ 実験そのものの妥当性はもとより、適用方法やベクターのbio-distribution を含む動物実験のデザイン
・ FDAやNCIなどの基準に適合し、一般に入手可能な材料の使用
特に医療への応用を見据えて基礎研究を行うのであれば、最後の項目が大切です。その規格に合わない材料を用いて生みだした材料では、実験により知識は得られても、その材料そのものをヒトに適用することができず、臨床応用のためにはじめから実験をやり直さなければいけなくなります。
Biological Resources Branch,
http://web.ncifcrf.gov/research/brb/site/home.asp
Developmental Therapeutics Program,
http://dtp.nci.nih.gov/
■ 次回は組換えウイルス設計の発表に関してのお話を予定しています。(T.M.)
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■■■ 論文紹介 ■■■
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Katayama K., Fujita N., Tsuruo T. Akt/protein kinase B-dependent phosphorylation and inactivation of WEE1Hu promote cell cycle progression at G2/M transition. Mol. Cell. Biol., 25, 5725-5237 (2005). PMID: 15964826.
セリン/スレオニンリン酸化酵素Aktは、G1期にcyclin/Cdkリン酸化酵素の活性化ならびにCdk阻害蛋白質の不活性化を通して細胞周期を調節することにより細胞増殖を推進することで知られている。しかし、どのようにしてG2/M期がAktによって調節されているのかは不明のままである。この論文で著者らは、AktがWEE1Huの機能と拮抗することを示した。化学療法薬剤あるいはphosphatidylinositide-3-OHリン酸化酵素阻害剤LY294002によるAktの不活性化は、Cdc2の抑制的リン酸化ならびにG2/M期停止を誘導した。Cdc2のリン酸化の亢進はwee1hu遺伝子の機能抑制により完全に抑制されたので、Aktの不活性化により引き起こされるG2/M期停止にWEE1Hu蛋白質が関与することが示された。さらに、SからG2期にAktがWEE1Huに直接結合しリン酸化することが明らかになった。642番目のセリンはAkt依存リン酸化サイトとして同定されていたが、WEE1Huの酵素活性は642番目のセリンのリン酸化によっては影響を受けなかった。代わりに著者らは、642番目のセリンのリン酸化がWEE1Huの細胞質局在を促すことを見つけた。核から細胞質への移動はリン酸化に依存した14-3-3θのWEE1Huへの結合によっており、14-3-3βやσではなかった。以上の結果からAktはWEE1Huのリン酸化依存的な14-3-3θへの結合と細胞質局在を誘導することによってG2/M細胞周期進行を促していることを示唆している。(T.M.)
■ 利用した遺伝子材料
WEE1Hu (RDB 1204)
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発行
理化学研究所・バイオリソースセンター
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2005.12.23