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RIKEN BioResource Center DNA Bank Mail News
https://dna.brc.riken.jp/ja/mail
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理研BRC・DNA Bankよりメールニュースを配信いたします。
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◆ 第74回日本癌学会学術総会 出展のお知らせ
◆ Pick Up リソース ~当室が提供するオススメリソース~
◆ Focused リソース ~当室リソースを用いた成果論文~
◆ ゲノムマッピング済みのBACクローン
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◆ 第74回日本癌学会学術総会 出展のお知らせ
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■ 下記の日程で、第74回日本癌学会学術総会が開催されます。理研BRCではブー
スを出展いたします。実験方法やリソースの選び方等のご質問がございましたら、
理研BRCブースへ是非お越しください。お待ちいたしております。
会 期: 2015年10月8日(木)~10日(土)
会 場: 名古屋国際会議場
日本癌学会学術総会ホームページ
URL : https://www.congre.co.jp/jca2015/index.html
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◆ Pick Up リソース ~当室が提供するオススメリソース~
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■ Histac ~ヒストンのアセチル化を検出する蛍光プローブ~
ヒストン修飾は、遺伝子のエピジェネティックな発現制御に大きく関与している
と考えられています。しかし、いつ・どこで・どのように起きるのかという動態
解析はほとんど進んでいません。生きたまま解析する手段が乏しいことが理由の
ひとつとして挙げられます。
今回は、佐々木 和樹先生(理化学研究所・脳科学総合研究センター)らが開発
した「Histac」を紹介します。「Histac」は、ヒストンH4のアセチル化の動態を
生細胞でリアルタイムに解析することを目的とした蛍光プローブです。
■ Histacの特徴
Histacは、蛍光タンパク質Venus、アセチル化ヒストンと結合するブロモドメイ
ン、ヒストンH4、および蛍光タンパク質CFPを直列につないだ融合タンパク質で
す。Histac内のH4のアセチル化前には、CFPとVenusの距離が近くなるように設計
されており、蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)による黄色蛍光(535 nm)を発色
します。一方、Histac内のH4のアセチル化により、ブロモドメインがH4に分子内
会合し、CFPとVenusの距離が遠くなることで青色蛍光(480 nm)を発色します。
Histacを用いた蛍光観察には、抗体反応や細胞固定は不要です。Histacを導入し
た動物細胞では、蛍光顕微鏡を用いてアセチル化の動態を経時的に追跡すること
ができます。
原著論文では、Histac発現細胞株に脱アセチル化酵素阻害剤であるTSAを作用さ
せ、ヒストンH4のアセチル化の応答を0分から180分までを経時的に観察した結果、
核内のCFPとVenusの蛍光強度比(480 nm/535 nm)が変化することから、アセチ
ル化の動態を可視化追跡できる研究ツールとして「Histac」の有効性を確認して
います。
■ 参考文献
原著論文
1. Sasaki, K., et al. Real-time imaging of histone H4 hyperacetylation
in living cells. PNAS, 106(38):16257-62, 2009.
2. Ito T, et al. Real-Time Imaging of Histone H4K12-Specific Acetylation
Determines the Modes of Action of Histone Deacetylase and Bromodomain
Inhibitors. Chemistry & Biology, 18(4):495-507, 2011.
プレスリリース
1. 遺伝子の働きを決めるヒストンアセチル化をリアルタイムで観察
URL : http://www.riken.jp/pr/press/2009/20090907/
2. ヒストンアセチル化を検出するための蛍光プローブ
URL : http://www.riken.jp/outreach/ip/21193
■ 提供リソースについて
Histac pcDNA3.1 (cat# RDB12840)
BRDTタンパク質のブロモドメインにより、Histac内のヒストンH4の5番目および8
番目のリジン残基のアセチル化(H4K5/K8)を検出します。
URL : https://brc.riken.jp/dna/RDB12840
Histac-K12 pcDNA3.1 (cat# RDB12841)
BRD2タンパク質のブロモドメインによりHistac内のヒストンH4の12番目のリジン
残基のアセチル化(H4/K12)を検出します。
URL : https://brc.riken.jp/dna/RDB12841
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◆ Focused リソース ~当室リソースを用いた成果論文~
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■ グリオブラストーマの浸潤においてPRRX1はNotchシグナルを活性化する。
グリオブラストーマの浸潤にはPRRX1が関わっており、またNotch、Wnt、
Hedgehogのパスウェイが活性化することが知られています。そこで、
千賀 威 先生(名古屋大学大学院・医学研究科)らはPRRX1Aの発現によってこれ
らパスウェイが活性化されるか検証するために、NotchシグナルはpGa981-6
(cat. #RDB06776)、Hedgehogシグナルについては8×3’Gli-BS-delta51-LucII
(cat. #RDB08061)を用いて、レポーターアッセイを行いました。
■ 原著論文
Sugiyama, M., et al. Paired related homeobox 1 is associated with the
invasive properties of glioblastoma cells. Oncol Rep.
33(3):1123-30, 2015.
■ 使用されたリソース
pGa981-6 (cat# RDB06776)
URL : https://brc.riken.jp/dna/RDB06776
8×3’Gli-BS-delta51-LucII (cat# RDB08061)
URL : https://brc.riken.jp/dna/RDB08061
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◆ ゲノムマッピング済みのBACクローン
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■ 遺伝子材料開発室では、マウス(C57BL/6N、MSM/Ms系統)、ラット
(F344/Stm、LE/Stm、F344/Jcl、ACI/NJcl系統)、ニホンザル(M. fuscata)、
ショウジョウバエ(D. melanogasterなど5種)のBACクローンを提供しています。
■ これらのBACは、発生生物学や神経科学の分野で遺伝子発現解析やトランスジ
ェニック(Tg)動物の作製に使用されています。さらにマウスBACは、ルシフェラ
ーゼや蛍光タンパク質を使ったバイオイメージング技術のためのTg動物やノック
イン個体の作製にも使用されています。
■ BACブラウザーを用いることで、遺伝子のgene symbolをキーワードとしてBAC
クローンを検索し、ゲノム領域上のBACクローンの位置を確認することが可能で
す。
BACクローン検索の入り口を下記ウェブページに設定しました。活発なご利用を
お待ちしております。
URL : https://dna.brc.riken.jp/ja/clonesetja
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発行
理化学研究所・バイオリソースセンター
遺伝子材料開発室
dnabank@brc.riken.jp
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2015.09.10