RIKEN BioResource Center DNA Bank Mail News (電子メール版)

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RIKEN BioResource Center DNA Bank Mail News (電子メール版)
https://www.brc.riken.jp/lab/dna/ja/news/news.html
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■ RIKEN DNA Bankからの発送予定表
■ ライフサイエンス合同シンポジウム参加報告
■ NBRPシンポジウム参加報告
■ RIKEN DNA Bankからの採用情報
■ BANK 雑記
■ DNAバンクのちょっとした話し
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■■■ RIKEN DNA Bankからの発送予定表 ■■■
https://www.brc.riken.jp/lab/dna/ja/news/shipment01.html
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■ RIKEN DNA Bankからの発送予定表を更新しました。今年度も水曜日が発送日となっています。
■ 今年度前半は、5月3日と8月16日の発送をお休みさせて頂きます。悪しからずご了承下さい。

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■■■ ライフサイエンス合同シンポジウム参加報告 ■■■
https://www.brc.riken.jp/lab/dbs/sympo/life06.html
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■ ライフサイエンス合同シンポジウム参加報告 が掲載されました。
■ 文部科学省主催で、平成18年3月14日(火)、15(水)に東京国際交流館・プラザ平成にて、また3月23日(木)には大阪の千里ライフサイエンスセンター・ライフホールにおいて、ライフサイエンス合同シンポジウムが開催されました。のべ約1,000名という大変多数の参加者がありました。

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■■■ NBRPシンポジウム参加報告 ■■■
https://www.brc.riken.jp/lab/dbs/sympo/report05_2.html
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■ NBRPシンポジウム(シリーズ第2弾 「バイオリソースとライフサイエンス研究最前線」)参 加 報 告が掲載されました。
■ 文部科学省NBRPシンポジウム実行委員会(委員長:小原雄治国立遺伝学研究所所長)主催、国立遺伝学研究所及び独立行政法人理化学研究所バイオリソースセンター後援で、平成18年3月9日(木)に東京国際フォーラムB7におきまして、ナショナルバイオリソースプロジェクト(NBRP)シンポジウムシリーズ第2弾「バイオリソースとライフサイエンス研究最前線」、並びにバイオリソースのパネル展示「バイオリソース勢ぞろい」が開催されました。約300名という大変多数の参加者がありました。

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■■■ RIKEN DNA Bankからの採用情報 ■■■
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■ 遺伝子材料開発室より、任期制スタッフの採用情報をお知らせいたします。
■ 遺伝子材料開発室の概要
○研究背景
<遺伝子発現に関する開発研究>
アデノウイルス感染によって駆動されるウイルス初期遺伝子のひとつE1A による宿主側の細胞遺伝子群の発現抑制・細胞複製プログラムの始動機構を分子レベルで解明する研究を目的としています。現在までに、マウス胚性腫瘍細胞F9 を用いてE1A およびレチノイン酸による発癌遺伝子c-jun のトランス活性化の標的エレメント(DRE) を決定し、そのエレメントが、F9 のE1A やレチノイン酸による分化誘導に重要である事を明かにしました。DRE には転写因子複合体DRF が結合し、本DRF 複合体には癌抑制遺伝子産物p300、転写因子ATF-2、転写抑制因子JDP2 が含まれることを明かにしました。さらに、c-jun 遺伝子の転写調節にヒストンアセチル化・脱アセチル化が深く関わっていることも明らかにしました。
Jin C. et al., Nat. Struct. Mol. Biol. 13, 331-338 (2006).
Yamasaki T. et al., Curr. Genom. 6, 351-364 (2005).
Jin C. et al., Mol. Cell. Biol. 22, 4815-4826 (2002).
Kitabayashi I. et al., EMBO J. 14, 3496-3509 (1995).
さらに個体発生制御に関するゲノムネットワーク解析、将来的には比較生物学・分子進化生物学を見据えた事業の展開のために、まずは大型動物由来のES 細胞を用いた核移植クローンの共同研究も行っています。
Saito S. et al., Methods in Molecular Biology 329: 59-79 (2005).
Saito S. et al., Biochem. Biophys. Res. Commun. 309, 104-113 (2003).
Saito S. et al., FEBS Lett. 531, 389-396 (2002).
<遺伝子導入用ウイルスベクターの標的化とその高度利用法の開発研究>
動物細胞ならびに実験動物個体への遺伝子導入ベクターである組換えアデノウイルスの構築や利用技術に関する研究を行い、普及に勤めてきました。
Ugai H. et al., J. Gene Med. 7, 1148-1157 (2005).
Ugai H. et al., Biochem. Biophys. Res. Commun. 331, 1053-1060 (2005).
Seo E. et al, Cancer Res. 65, 546-552 (2005).
Ugai H. et al., Biochem. Biophys. Res. Commun. 300: 448-456 (2003).
Fukuda K. et al., Cancer Res. 63, 4434-4440 (2003).
○バンクの今後の事業展開
これまで培ってきた研究基盤を背景に、現在構築中の組織特異的転写調節領域を集めたプロモーターバンクならびにCre-loxP 遺伝子発現制御系を用い、強制発現系ならびに組換え系を利用したマウス系統の作製(Cre-zoo) ならびに遺伝子導入ベクターの作製に力点をおいたバンク事業を展開して参ります。
そのなかで前述の転写因子群による細胞分化プロセスとクロマチン構造の制御機構の解析を具体的な研究ターゲットとして定め、ここで得られた情報をもとにマウス胚性幹細胞 (ES cell) の分化誘導の分子機構およびそのネットワークの解析、さらに個体発生におけるこれら因子の機能の解析に貢献する研究基盤を構築したいと考えています。そこで、マウスの胚発生とノックアウトおよびノックイン等の技術ならびに組織染色による遺伝子発現解析に精通した人材でバンク活動に理解を示す心材を求めております。
■ 採用職種
○ポスドク(BRC 研究協力員:リサーチスタッフ)
理研で遂行する特定のプロジェクトの効率的な推進を図るため、一定期間、契約により受け入れる。
資格:高度な研究能力、実績を有する国内外研究者・常勤
○1年毎更更新で通年3年。審査により延長可。
○謝金額は研究経歴等に基づき、理化学研究所の謝金規定に従って支給。社会保健等負担あり。
■ 募集締切
○適当な方が見つかり次第、締切ります。
■ お問い合わせや見学については、
理化学研究所・バイオリソースセンター
遺伝子材料開発室
村田武英・先任研究員
dnabank@brc.riken.jp
■ 開発室全体の活動につきましては、
https://www.brc.riken.jp/lab/dna/labo/dnabank/publication.htm
ならびに
https://www.brc.riken.jp/lab/dna/en/preface.html
の論文リストをご覧下さい。

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■■■ BANK 雑記 ■■■
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■ 先日、理研アドバイザリーカウンスルによるBANK事業に関する審査会があり評価を受けました。その結果は私の所だけでなく、2年前と比べると理研BRCは一段と高いレベルのアーカイブスに発展しているとの評価を受けました。リソース資源をよく整備し、品質管理し、提供も良く行われているという内容でしたが、個人的にはこれからDNAバンクはどう生きたら良いのか? どの方向性に進むべきかという難題を掲示された感が致します。
■ 今までは私達は資源の整備と管理そして提供事業に手一杯の状況でバンク事業の自己評価をする余裕も無く、NBRPとともに突っ走ってきた感があります。しかしこれからは真剣にリソースを「生かした」研究、研究から生み出された「リソース」の有効な活用、つまり「使われてなんぼ?」の世界に突入しなくてはいけなくなります。その為にはどうしたら良いのでしょう?
■ 例えば現在ではPCR反応は誰でも知っている技術です。今後もこの技術は進化を遂げると考えられますが、一方では大変な危惧もあります。 酵素のFIDELITYを上げるBREAKTHROUGH が発見されなければこの技術も遺伝子合成技術にはかないません。将来、遺伝子は合成する時代に突入すると考えられます。これと同じようにリソースを研究に生かす為のアイデアを構築しないと知的基盤も「宝」の持ち腐れになってしまう危惧を感じております。
■ 自己評価を忘れる事無く、「新しいリスース」や「使われるリソース」の開発を目指してゆかなければなりません。色々考えさせられる審査委員会でした。 (KKY)

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■■■ DNAバンクのちょっとした話し ■■■
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■ クロマチン免疫沈降法 (ChIP)とPCRを組み合わせた解析 (ChIP-PCR)は転写調節解析の強力なツールですが、解析結果を得るまでの段階が多く、各段階での条件の違いが実験結果に影響をおよぼします。今回は、細胞をホルマリン固定する段階での条件検討の結果をお示しします。
■ この実験は、ヒストンのアセチル化の検出を目的としたホルマリン固定時間の決定でしたので、トリコスタチンA (TSA)処理有無の条件下で抗アセチル化ヒストンH4抗体による免疫沈降を行いました。
■ 以下に手順をお示ししますが、用いる機器、細胞、抗体、標的遺伝子あるいは用いる試薬のロット等によって条件が異なる場合があります。

■ クロマチンサンプルの調製
1. F9細胞を6-cmディッシュに培養し、そこにTSAを100 ng/mlとなるように添加した。
2. 24時間後、培地にホルマリンを1%になるように添加し、細胞を室温で固定した。固定時間は30分、10分、3分とした。
3. 固定した細胞を洗浄後、800 ulのPBS (proteinase inhibitor入り)と共に1.5 mlマイクロチューブに回収した。
4. 遠心分離後、細胞を150 ulのLysis bufferに再けん濁した。
5. [30秒/30秒]インターバル30サイクルの超音波により細胞を超音波破砕した。DNAのサイズは0.5-2 kb程度であった。
6. 遠心分離した上清20 ulをDNA量検定のために分取し、残りを-80℃に保存した。
7. 分取した20 ulに162 ulのTE、18 ulの10% SDSを混和した。
8. 65℃、8時間、保温した。
9. Protenase Kを0.1 mg/mlになるように加え37℃、2.5時間、保温した。
10. フェノール-フェノールクロロホルム-クロロホルム抽出の後、DNAを20 ulのTEに溶解した。
11. 吸光度によりDNA量を求めた。
TSA処理 固定時間(分) 濃度 (ug/ul)
無    0        0.42
無    3        0.40
無    10        0.50
無    30        0.41
有    0        0.23
有    3        0.25
有    10        0.17
有    30        0.19
■ DNA収量に注目して下さい。播き込み細胞数は同一で培養を始めましたが、TSA処理の有無で差があるようです。すなわち、播き込み細胞数をそろえてChIPをして得た値は、実は同じインプット量に対して落ちてきたDNA の量を示しているのではなく、インプットで使用したDNA の量を反映しているだけかもしれません。
■ ChIPサンプルの調製
1. 10 ug DNA相当量のクロマチンサンプルにLysis bufferを加え、60 ulにした。
2. 540 ulのDilution bufferを加えた。
3. 1 ulのanti-acetyl histone H4 antibody (Upstate, 06-866)を加えた。
4. ローテータ-で回転しながら4℃、15時間、保温した。
5. 25 ulのproteinA sepharose 4FF (Amarsham; treated with 200 ug/ml salmon sperm DNA and 0.5 mg/ml BSA)を加えた。
6. ローテータ-で回転しながら4℃、1時間、保温した。
7. Wash buffers A, B, LiClでそれぞれ1回、TEで2回、ビーズを洗浄した。
8. ビーズからDNA protein complex を溶出し、65℃、6.5時間、保温した。
9. 一旦、4℃で保存した。
10. Proteinase K処理の後、フェノール-フェノール/クロロホルム-クロロホルム抽出の後、DNAを20 ulのTEに溶解した。
■ PCRは20 ulの系で、1.0 ulのChIP DNAを鋳型とし、c-Jun coding領域を増幅した。
■ TSA処理の有無によりアセチル化状態の差が明確に分かるのは、10分ないし30分固定のサンプルでした。また、30分固定の方が10分固定よりシグナル強度差が明確でした。
■ ChIPに関してはネット上でも様々なプロトコールを入手することができます。いくつかのプロトコールを参照したところ、ヒストンはDNAとの結合が強いので、「ホルマリン固定なしにChIPができる」という記事を見つけましたが、今回の実験では固定なしあるいは3分間の固定ではアセチル化ヒストンは検出できませんでした。また、固定時間を10分間と記述しているプロトコールがあったり30分間とするプロトコールがあったりと様々ですが、今回の実験のなかでは30分間が最適でした。ただし、「どんな場合でも30分間固定が最適」ということではなく、細胞の種類や状態や用いる試薬に依存して最適の固定時間は異なりますので、予備実験を行って、実験を個別に最適化する必要があります。
■ 今回は、誌面の関係で記事を省略したところがあります。この実験の結果の写真ならびに詳しい手順と使用した試薬は、「Technical notes」として「ラボマニュアル」のページで公開しています。
https://www.brc.riken.jp/lab/dna/ja/manual.html
お手数ですが、さらにお知りになりたい方はそちらをご覧下さい。(T.M.)

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発行
理化学研究所・バイオリソースセンター
遺伝子材料開発室
dnabank@brc.riken.jp
https://www.brc.riken.jp/lab/dna/ja/
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2006.04.24



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