RDB_News

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■ 新年のご挨拶
■ BRC-JCM保有株由来ゲノムDNA提供可能株の追加
■ 学会のお知らせ
■ BRCセミナーのお知らせ
■ DNAバンクのちょっとした話し
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■■■ 新年のご挨拶 ■■■
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■ 平成20年を向え、希望の夢をふくらませつつ決意を新たに職場に復帰しておられると思います。平成20年最初の月ということもあり、いままでの事業の経緯を紹介し、今後の新しい取り組みについて紹介させて頂きます。
■ 事業沿革と概要
■ 理化学研究所は昭和62年6月に細胞・遺伝子保存施設(理研ジーンバンク)を設置し、ライフサイエンス関連分野の研究発展を促進する体制を整えてきました。遺伝子材料開発室(旧DNA バンク, 旧DNA 開発銀行)は、平成5年度より汎用宿主ベクター系とクローン化遺伝子を中心に収集と提供を開始し、平成7年度以降、Foundation HJean-Dausset CEPH 研究所より寄付されましたCEPH Mega YAC クローン化ライブラリー、さらに札幌医科大学 濱田洋文先生、および東京大学医科学研究所 斎藤泉先生より寄託されました遺伝子導入用のレトロ・アデノ・アデノアソシエートウイルスおよび組換えシャトルベクターDNA の収集と提供事業を行なってきました。平成10年度に採択された文部科学省振興調整費・知的基盤整備「組換えウイルスコアバンク創設とその高度利用」プロジェクトでは、バンクに寄託していただいた種々のcDNA クローンや東京大学 菅野純夫先生よりの完全長cDNA クローンを組換えウイルスベクターに搭載し、組換えウイルス部門を充実させました。他にも、NIA/NIH の洪実先生やERATO バイオシンメトリープロジェクトの土居洋文先生からマウス初期発生段階特異的なMouse cDNA Clone セット、大阪大学微生物研究所 野島博先生から各種cDNA ライブラリー群、愛知県がんセンター研究所の赤塚美樹先生からは日本人に特異的なHLA シリーズ、Ludwig Institute for Cancer Research 、愛知県がんセンター研究所、並びにバイオリソースセンターリソース基盤開発部からはSEREX 法により同定された癌抗原cDNA クローン、理化学研究所の阿部訓也先生からはマウスBAC ゲノムクローン化ライブラリー等の寄託を、理研ゲノムセンター(理研GSC) の榊佳之先生から、ヒト染色体別ゲノムクローン化ライブラリーを始めとする大型ゲノムライブラリー等の大規模ゲノムの寄託を承っております。
■ 理化学研究所は、平成13年に、国内外のライフサイエンス研究の動向を踏まえ、研究推進に必要な遺伝子材料、動植物細胞株・動植物個体および遺伝子関連情報を収集・保存するとともに、自らも新しい材料および関連技術の開発を行い、国内外の研究者に広く普及することを目的としたバイオリソースセンターを発足させました。 バイオリソースセンターには、遺伝子部門以外に「動物」「植物」「細胞」「微生物」「情報」ならびに開発研究グループの部門を有し(https://www.brc.riken.jp) 、生命科学研究全般の知的基盤整備とその推進を目標に、「信頼性」「継続性」「先導性」をモットーにリソース開発、整備事業を展開しております。
■ バイオリソースセンターが発足した平成13年、政府の「科学技術基本計画」(閣議決定)において、生物遺伝資源を含む知的基盤の重要性が指摘され、また同年、総合科学技術会議が作成した「分野別推進戦略」では、多様な生物資源の収集・確保・維持・管理・供給機能の長期的継続、国家的な対応の必要性が述べられました。一方、文部科学省の科学技術・学術審議会では「知的基盤整備計画」(答申)において、我国の生物遺伝資源が欧米諸国に比して量については大きく遅れている現状を踏まえて、「国が重点的かつ主体的に整備すべきバイオリソースについては、2010年時点で世界最高水準の目標を達成する」ことを提示しました。
■ 平成14年度には文部科学省がナショナルバイオリソースプロジェクト(NBRP) を発足させ、当開発室はその枠組みの中で「動物および微生物のDNA」の収集・保存・提供に関わる中核機関として選定され事業を進めています。「生物遺伝資源寄託同意書」(MTA) の見直しを行い、リソースが寄託されても知的所有権はバンクには移動せず、オリジネーターに保持される点を明確化しました。第一期NBRP (平成14年~18年)でも、理研GSC の榊佳之先生と自然科学研究機構生理学研究所の伊佐正先生からはニホンザルBAC ライブラリー、チンパンジー22染色体ゲノムライブラリー、広島大学 矢尾板芳郎先生、自然科学研究機構基礎生物学研究所の上野直人先生および東京大学 平良眞規先生からはXenopus tropicalis と Xenopus laevis EST cDNA ライブラリーを、京都大学 芦川忠夫先生からはラットBAC ライブラリーを御寄託頂きました。その他、理化学研究所中央研究所の吉田稔先生からは、S. Pombe 酵母の発現クローン化ライブラリー、理化学研究所播磨研究所、大阪大学の倉光成紀先生より高度好熱菌Thermus thermophilus HB8 蛋白質発現ライブラリーが寄託されました。さらに当開発室では、学術論文等をもとに構築した、ルシフェラーゼ活性が確認されたクローンから構成される「プロモーターバンク」を立ち上げ、既に多数のクローンの提供を始め、そのアッセイデータをインターネットで公開しています。また、筑波大学生物資源センターや理研BRC実験動物開発室と共同で、プロモーターCre マウス作製のプロジェクトを平成16年度より本格的に始動させております。転写のシスエレメントをレポーターに接続させたレポーターミニライブラリーも完成させました。遺伝子資源の多様化に向けて、生化学反応のジャンルごとにセット化した遺伝子ネットワークをまとめて提供するため、新しく「セット化サブバンク」を平成18年より設置し、その活動を現在も継続させております。平成19年度より理化学研究所微生物材料開発室と共同で、有用微生物のゲノムDNA の提供を開始いたしました。遺伝子から組換えウイルスそして組換え細胞、組換えマウスと提供資料は多様化してきております。本年度も、日本より発信できる遺伝子リソース、(1) セット化バンク (2) 遺伝子導入バンク(組換えウイルス) (3) 日本人特異的遺伝形質バンクを中心に、これにメタゲノムを始めとする (4) 生物多様性ゲノムライブラリーを加えて活動を行なってゆきたいと考えております。ユーザーの希望にそくした「次世代リソース」の作製、開発、収集、提供事業を展開してゆく所存です。宜しく御支援の程、お願い申し上げます。2010年の世界最高水準に向けて頑張ります(K.K.Y.)。

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■■■ BRC-JCM保有株由来ゲノムDNA提供可能株の追加 ■■■
https://www.brc.riken.jp/lab/dna/ja/JCMDNA.html
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■ 今回は以下の株由来のDNA を追加しました。これにより、提供可能株数は20株となりました。
RDB 6276 JCM 10044T Methanothermobacter thermautotrophicus
RDB 6281 JCM 5826T Bacteroides vulgatus
RDB 6282 JCM 5828T Bacteroides uniformis
RDB 6236 JCM 1652 Salmonella enterica subsp. enterica
RDB 6283 JCM 11019T Bacteroides fragilis
RDB 6291 JCM 5962T Pseudomonas aeruginosa
RDB 6292 JCM 14847 Pseudomonas aeruginosa
■ RIKEN BRC-JCM で培養し、遺伝子材料開発室でDNAを調製したゲノムDNAです。提供単位は、培養ロット毎に異なっております。ご注意下さい。
■ 微生物DNA提供の申込先およびお問合せ先は下記をご覧下さい。
https://www.brc.riken.jp/lab/dna/ja/JCMDNA.html

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■■■ BRCセミナーのお知らせ ■■■
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第71回BRCセミナーを下記の通りに開催いたします。
日時:2008年2月18日(月)16:00~17:00
場所:理研筑波研究所バイオリソースセンター1階 大会議室
講師:薮内 晶子 先生
(Division of Hematology and Oncology, Children’s Hospital Boston, U.S.A.)
演題:「Human embryonic stem cell derivation from poor-quality embryos」
詳細は下記に掲載予定です。
https://www.brc.riken.jp/inf/news/#semi

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■■■ 学会のお知らせ ■■■
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■ 昨年12月11日~14日にパシフィコ横浜で開催されたBMB2007 (第30回日本分子生物学会年会・第80回日本生化学会大会 合同大会学会)の報告を下記に掲載しました。
■ 会期中は多くの皆様にお立ち寄り頂き、また、貴重なご意見を頂くことができました。有り難うございました。
https://www.brc.riken.jp/inf/news/20080104.pdf

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■■■ DNAバンクのちょっとした話し ■■■
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■ 高次生命現象を対象とした研究では、それぞれの生命現象の中で重要な機能を担う遺伝子や表現型のマーカーとなる遺伝子の発現解析が重要であり、それにはプロモーター断片にレポーター遺伝子を連結したプロモーターレポーターコンストラクトが使用されます。また、遺伝子治療研究やCre-loxP 系による条件付遺伝子欠損動物の作製では、導入遺伝子を組織や時期特異的に発現させるために必要な特異性を有するプロモーターを選定する必要があります。
■ 当開発室では、ナショナルバイオリソースプロジェクトならびに理研バイオリソースセンターのもとで、これらの遺伝子発現研究の推進を目的としたバイオリソースとして、エレメントコンストラクトならびにプロモーターサブバンクの整備を進めてます。
■ エレメントコンストラクトは、細胞のシグナル応答の解析ツールとしての利用を想定して選んだ応答配列をウミシイタケRenilla のルシフェラーゼの上流に持つレポータークローンです。論文として発表されている応答配列37種類を構築し、さらにその逆向き配列や塩基置換変異体をセットとして構築しました。また、ホームページでは、研究利用実績があるpromoter deletion シリーズ (JunB, c-Jun, c-ErbB2, Dnmt1) も掲載しています。
https://www.brc.riken.jp/lab/dna/ja/vector40.html
■ プロモーターサブバンクの整備計画では、実際に使用可能なベクターの提供を目指し、プロモーター活性を検証したクローンを構築しています。プロモーターの選定に当たっては、将来の遺伝子治療を見据え、組織特異的な発現パターンが報告されている遺伝子を候補としました。その中から、文献でプロモーター特異性が報告されている領域をヒトゲノムDNA から単離しました。この遺伝子断片をpKM2L に挿入しました。
■ 基本となるpKM2L ベクターはウミシイタケルシフェラーゼ遺伝子をレポーターとして搭載したベクターです。ウミシイタケルシフェラーゼ遺伝子上流に配置した遺伝子断片組込み可能サイトには複数の制限酵素認識配列があります。また、プロモーターからpolyA 付加シグナルまでの発現ユニットをSwaI あるいはI-SceI で切り出すことが可能です。ルシフェラーゼはNheI とNotI で切り出すことができるため、希望の遺伝子断片と入れ換えることができます。
■ ルシフェラーゼ活性は、2006年2月24日配信のメールニュースに記載の細胞株を用いて計測しました。
https://www.brc.riken.jp/lab/dna/ja/news/NWL060224.html
それらの株の分化実験を行った場合の培養条件と参考文献はテクニカルノートに記載しています。
https://www.brc.riken.jp/lab/dna/ja/MANUAL/technicalnotes09.pdf
■ クローンの構築で苦労したのは、文献どおりに遺伝子断片を得ることが難しいということでした。文献どおりの配列でPCR をかけても増幅が見られない場合もいくつかありました。転写開始点上流何ベースという表記はあっても、肝心の転写開始点がわからない例もありました。確かに文献に記載の細胞では活性があがるけど、文献で注目する以外の組織由来の細胞でも活性があるなど、組織特異性があると書かれているのに、やってみると色々な細胞で活性が高い場合もありました。また、活性が低い場合は、薬剤を添加して遺伝子の誘導条件を検討することもしました。そこで、ホームページでは、ご自分の研究に合ったクローンはどれであるかを選んでいただく目安として、これまでに実施した活性測定結果をすべて公開しています (T.M.)。
https://www.brc.riken.jp/lab/dna/ja/promoterja.html

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■ メールニュースの配信について
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○本メールニュースの購読を中止されたい場合は、https://www.brc.riken.jp/lab/info/catalog/ の「利用者登録」または「メールニュース簡易登録」にてメールニュースの購読中止の設定をして頂くか、遺伝子材料開発室 ( dnabank@brc.riken.jp ) まで「メールニュース不要」の旨をご連絡下さい。
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https://www.brc.riken.jp/inf/distribute/inform.shtml
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https://www.brc.riken.jp/lab/dna/ja/news/news.html
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発行
理化学研究所・バイオリソースセンター
遺伝子材料開発室
dnabank@brc.riken.jp
https://www.brc.riken.jp/lab/dna/ja/
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2008.01.22



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