RIKEN BioResource Center DNA Bank Mail News (電子メール版)

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RIKEN BioResource Center DNA Bank Mail News (電子メール版)
https://www.brc.riken.jp/lab/dna/ja/news/news.html
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■ NBRPシンポジウム・シリーズ第2弾、無事終了
■ Responce Element Bank のマップ追加
■ 研究開発二種告示の主な変更点
■ バンク雑記
■ DNAバンクのちょっとした話し
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■■■ NBRPシンポジウム・シリーズ第2弾、無事終了 ■■■
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■ ナショナルバイオリソースプロジェクトシンポジウム「バイオリソースとライフサイエンス研究最前線」が2006年3月9日、 東京国際フォーラムで開催されました。このシンポジウムでは、各リソースの現状と成果の報告の他、リソースから生み出された優れた研究成果の利用者サイドからの発表を中心にプログラムが組まれていました。
http://www2.convention.co.jp/nbrp/20060309.html
■ 多数の皆様にご来場頂き、講演会場では、壁際に急きょ椅子が追加されました。多数の皆様のご来場ありがとうございました。また、質疑応答では一般社会人参加者からも質問がでるなど、バイオリソースに対する社会的関心の高さをうかがい知ることができました。
■ NBRP特別企画は、第47回日本植物生理学会 (2006/3/19-21 筑波大学)の開催に引き続き、第53回日本実験動物学会 (2006/5/11-13 神戸国際会議場)でも開催されます。

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■■■ Responce Element Bank のマップ追加 ■■■
https://www.brc.riken.jp/lab/dna/ja/vector40.html
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■ 各種転写因子のレスポンスエレメントを集めたResponce Element Bank のページに、エレメント配列周辺のマップを追加しました。

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■■■ 研究開発二種告示の主な変更点 ■■■
https://www.brc.riken.jp/lab/dna/ja/FAQ.html
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■ 改正された研究開発二種告示(平成18年2月6日)の主な変更点を「よくある質問 (FAQ)」のページにまとめました。

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■■■ バンク雑記 ■■■
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■ 新年度を迎えるにあたり、御挨拶申し上げます。
■ 理研バイオリソースセンターが発足して早いもので、5年が経過しました。平成13年、政府の「科学技術基本計画」(閣議決定)において、生物遺伝資源を含む知的基盤の重要性が指摘され、また同年、総合科学技術会議が作成した「分野別推進戦略」では、多様な生物資源の収集・確保・維持・管理・供給機能の長期的継続、国家的な対応の必要性が述べられています。一方、文部科学省の科学技術・学術審議会では「知的基盤整備計画」(答申)において、我国の生物遺伝資源が欧米諸国に比べて 量、質共に大きく遅れをとっている現状を踏まえて、「国が重点的かつ主体的に整備すべきバイオリソースについては、2010年時点で世界最高水準の目標を達成すること」を提示しました。そして平成14年度には文部科学省が先導してナショナルバイオリソースプロジェクトを発足させ、当開発室はその枠組みの中で「動物および微生物のDNA」の収集・保存・提供に関わる中核機関として選定され事業を進めています。
■ 平成17年度は理研GSCよりナショナルバイオリソースプロジェクトによる霊長類の大型BACクローンの寄託を受けました。一方、当開発室では、東京大学医科研 菅野純夫先生より提供されたヒト完全長cDNAを組込んだアデノウイルス作製用シャトルベクターの構築を完了致しました。さらに学術論文等をもとに構築した、ルシフェラーゼ活性が確認されたクローンから構成される「プロモーターバンク」をご紹介できることとなりました。また新規にRIKEN BRC 実験動物開発室ならびに筑波大学遺伝子資源センターと共同で「Promoter-Cre」マウスの仕事を始め継続中です。
■ 平成18年度は上記(1)Promoter Bank部門の拡充、特にTgマウスの作製に主点をおくと同時に(2)遺伝子セット化の充実を推進してゆきたいと考えております。 近年、遺伝情報の蓄積に伴い、従来のライブラリーからハイブリダイゼーションで遺伝子を単離する方法からin silicoクローニングへと研究の流れにも変化が見られます。当開発室もこの流れを踏まえ、単に遺伝子の断片を供給するバンクから高付加価値の遺伝子材料を提供する「バンク」へと移行するつもりでおります。 (3)今年もまた大型リソースと致しまして、理研 中央研究所の吉田化学遺伝学研究室から酵母の整列化遺伝子ライブラリー15,000 株が寄託される予定です。(4)更にリソースを用いた研究成果のフィードバック体制の確立にも力点を置いてゆくつもりです。
■ この1年間で、国内利用のみならず海外からの提供依頼が急激に増え、さらに、Science誌 (vol.307, pp.1722, 2005)ならびにBioTechniques誌 (vol.38, pp.21, 2005)に当バンクに関する紹介記事が掲載され、世界にも知られて参りました。
■ RIKEN DNA Bankに保管されております遺伝子資源は、様々な研究機関に所属されておられます研究者各位の研究成果であります。大変貴重な遺伝子資源を寄託頂きました諸先生に深く感謝致しますと同時に、今後も生物科学研究分野の発展に寄与するため、スタッフ一同、より一層努力致す所存でありますので、各位のご指導、ご鞭撻を承りたいと思っております。
■ 1990年、テクニッシャンと二人で遺伝子の寄託をお願いに北から歩いた道のりを思い、2006年、今日の日本の知的基盤整備に関する国家政策を肌で感じ、改めて研究者の皆様に「リソースなくして研究無し」、「研究なくしてリソース無し」の知的基盤輪廻を訴えたいと思っております。
■ 来るべき平成18年も新しい希望を持って業務を遂行してゆく所存であります。
平成18年3月
遺伝子材料開発室
室長
横山 和尚

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■■■ DNAバンクのちょっとした話し ■■■
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■ 困ったことになりました。市販のT7 プライマーでシーケンス反応をかけてみたけど、全く反応が進んでない様子。プライマーのチューブには確かにT7 primer と書かれている。ベクターのマップには確かにT7 promoter と書いてあるしプライマーサイトもアンダーラインで明示されている。しばらく前に別のクローンを解析した時は、問題なく配列が読めたのに、どうして?
■ そこで、てもとのカタログを開き、市販のプライマーとベクターの配列を調べてみました。ここに掲載したプライマーとベクターは、たまたまてもとにあったカタログから抜粋したもので、これが良いとか悪いとかということを言いたいわけではありません。悪しからず。また、ここに掲載していない別の配列例があるかもしれません。

プライマー配列
5′ GTA ATA CGA CTC ACT ATA GGG CGA 3′ T7HT Toyobo
5′ GTA ATA CGA CTC ACT ATA GGG C 3′ T7 22-mer Stratagene
5′ TA ATA CGA CTC ACT ATA GGG 3′ T7 Promega
5′ TA ATA CGA CTC ACT ATA GGG 3′ T7 Takara
5′ TA ATA CGA CTC ACT ATA GGG 3′ T7 Novagen
5′ A ATA CGA CTC ACT ATA G 3′ T7 17-mer Stratagene

ベクター配列(T7 近傍)
5′ CAG TGA ATT GTA ATA CGA CTC ACT ATA GGG CGA 3′ pGEM-3Zf+
5′ CAG TGA ATT GTA ATA CGA CTC ACT ATA GGG CGA 3′ pBluescript SK
5′ TGA GCG CGC GTA ATA CGA CTC ACT ATA GGG CGA 3′ pBluescriptII SK
5′ CAG TGA ATT GTA ATA CGA CTC ACT ATA GGG CGA 3′ pBK-CMV
5′ TGA GCG CGC GTA ATA CGA CTC ACT ATA GGG CGA 3′ pBC KS
5′ CGC GGC CGC GTA ATA CGA CTC ACT ATA GGG CGA 3′ lambda DASHII
5′ CCG CGA GCT CTA ATA CGA CTC ACT ATA GGG CGT 3′ lambda FIXII
5′ TTG GCT GCA GTA ATA CGA CTC ACT ATA GGG CTC 3′ pBD-GAL4
5′ CGC CAA GCT CTA ATA CGA CTC ACT ATA GGG AAA 3′ pTZ19R
5′ TTA TCG AAA TTA ATA CGA CTC ACT ATA GGG AGA 3′ pCDNA3
5′ CGC CAA GCT CTA ATA CGA CTC ACT ATA GGG AAA 3′ pSport1
5′ CGC CAA GCT CTA ATA CGA CTC ACT ATA GGG AAA 3′ pT7Blue
5′ CAG TGA ATT GTA ATA CGA CTC ACT ATA GGG CGA 3′ pCITE
5′ CCC GCG AAA TTA ATA CGA CTC ACT ATA GGG AGA 3′ pET3
5′ CCC GCG AAA TTA ATA CGA CTC ACT ATA GGG GAA 3′ pET15b
5′ CCC GCG AAA TTA ATA CGA CTC ACT ATA GGG GAA 3′ pETBlue-1
5′ GGA CCG AAA TTA ATA CGA CTC ACT ATA GGG GAA 3′ pTriEx-1.1

■ こうやって眺めてみると、T7 プライマーと呼ばれているプライマーの間で配列が異なっていることが分かりますし、ベクターのT7 プライマー領域の配列にも違いがあることが分かります。さらに、プライマーの5′ や3′ の配列がベクターとマッチしない組み合わせがいくつかあります。特に、3′ ミスマッチの組み合わせでは、シーケンス反応がうまく行かないだろうことは容易に想像できます。
■ 有名なプライマーと有名なプライマー領域ですが、ただ「名前」という情報だけで判断するのでなく、そのプライマーとベクターの組み合わせが自分の実験に適しているかどうか、いま一度、「配列」も見直して実験をくんで下さい。(T.M.)

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発行
理化学研究所・バイオリソースセンター
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2006.03.25



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