RIKEN BioResource Center DNA Bank Mail News (電子メール版)

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RIKEN BioResource Center DNA Bank Mail News (電子メール版)
https://www.brc.riken.jp/lab/dna/ja/news/news.html
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個人情報の取扱いについては、下記に詳細がありますので、ぜひ、御一読ください。
https://www.brc.riken.jp/inf/distribute/inform.shtml

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■ オンラインで発注依頼書の作成が可能になります
■ バンク雑記
■ DNAバンクのちょっとした話し
■ 論文紹介
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■■■ オンラインで発注依頼書の作成が可能になります ■■■
https://www2.brc.riken.jp/lab/dna/help/online_help.html
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■ オンラインカタログシステムを更新し、オンラインカタログで検索したクローンをカートに入れることで 必要な書類を自動的に作成できるようになりました。しかしながら、当センターではオンラインでの受発注は現在検討中であり未だできません。今しばらくお待ち下さい。作成されるPDFファイルを印刷し、必要書類を郵送して下さい。
■ システムの概要は次のページをご覧下さい。
https://www2.brc.riken.jp/lab/dna/help/online_help.html
提供依頼に必要な書式につきましては、提供のページの「提供の概要」ならびに「申込書式(PDF)」の各項目にて詳細をご確認下さい。
https://www.brc.riken.jp/lab/dna/ja/teikyo.html
■ このシステムは、情報解析技術室の協力により運営しています。
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■■■ バンク雑記 ■■■
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■ 理研バイオリソースセンターはバイオリソースに係る開発研究を推進しています。ライフサイエンスの分野は元来が境界領域であり、理系のみならず文系出身の人達もこの分野で活躍しています。私共の研究室では出身をとわず、理学系、薬学系、農学系、工学系、医学系の人達を募集いたします。様々な分野の学生を受け入れる事により研究に幅がでてきます。また当研究室では応用研究にも力をいれておりますので臨床医学研究をしたい人達も大歓迎です。当研究室は大学院学生およびポスドクの参加をお待ちしています。

★ チャレンジ精神を持ったあなたを待っています ★
サイエンスへの情熱のある人を求めています。天才や秀才も20才までとも言われます。研究者になるのに必要なのは99%のサイエンスに対する情熱と努力です。研究への情熱は人一倍ある方や体力だけは人に負けない方々は大歓迎です。

★ 当研究室への入室を希望する若い学生さん達へのアドバイス ★
■ 時間がかかっても、よく考える習慣を身につける事をすすめます。よく考える習慣をつけて下さい。毎月ひとつ新しいアイデアが考える事ができるようになれば研究者としてプロです。
■ 現在ではプロトコール集が広く出回っており大変便利ですが、その技術の多くは実際にその実験をやっている人達から教えられるのが一番です。基本技術はまず、先輩や同僚から教わり、真似ることです。技術は盗むものと私も教わりました。
■ 人の話を謙虚に聞く態度も大切です。長い研究人生には山あり谷ありです。良い結果が得られない時には、視点を変えてみるために息抜きを勧めます。研究は長い航海と同じです。研究生活は人生と同じです。特に実験は材料調整など単純作業のくり返しです。息抜きが研究に活力を与えてくれます。そしてもう一度、自分の研究をみ直してみて下さい。大きな成果を得るためにも必要な時は大いに遊ぼう。
■ 修士や学士の時は大いに知識を吸収する事が必要です。受験勉強とは違う、研究者となるための必要な知識を書物から学びとって下さい。このトレーニングをしていますと博士課程位から、自分のアイディアを持つ事ができる様になります。時間をかけても、常によく考える習慣を身につけておけば、奇抜なアイディアはすぐ湧き出てきます。常に人とは違う視点からものを考える訓練が必要です。
■ 実験技術の進歩は日進月歩です。現在私達の分野では、結晶構造解析やナノテクノロジーやウイルス遺伝子導入やノックアウトマウスの作製・解析を含む多様な手法が用いられています。若い人達はすすんでこれらの新しい知識と情報を身につけてください。本当にその手法を必要とする時に役立ちます。
■ 将来プロの研究者になるためには、実験結果を的確に理解し、自分の考えを論理的に展開し、議論できる力を身に付けることが不可欠です。特に若い人達にとってこの訓練は非常に大切です。また発表の際には、英語は大切です。表現方法は、残念ながらこの社会では英語が中心です。少なくとも英会話や英語論文の書き方等は、ある程度できる様に心がけましょう。大丈夫です。当研究室には日本語を話せない研究者が常に在籍しております。
■ 研究成果は発表し公開することが重要です。でも誰も読まない雑誌に投稿しても残念ながら他の研究者が知る機会がありません。Impact factorの高い雑誌で、Citation indexの高い雑誌に投稿する事も必要です。また何か新しい独創的な発見をし、それを皆に理解してもらう為にも若い人達がこれらの一流誌に投稿するチャレンジ精神が大切だと考えます。しかし科学者が目を通すような雑誌に常にコンスタントに発表しつづける事も研究者としては大切な事です。できれば教科書に載る様な仕事をめざして!(KKY)
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■■■ DNAバンクのちょっとした話し ■■■
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■ 塩基配列。かつてはアイソトープを使い、ATGCそれぞれの反応産物をゲルに流し、職人的ともいえる技で薄く長いゲルをろ紙に貼り付け、X線フィルムに焼きつけたラダーを達人の技で読んでいました。その頃に比べると、信じられないほど簡単にシークエンス反応ができるようになりました。さらに、キャピラリ電気泳動の登場によってゲル作りと終わった後のゲル板洗いからも解放されました。しかし、昔とかわらず、シークエンスがうまくいかないことが今でもあります。
今回は実際にこの間あった、“簡単な工程を入れるだけでシークエンスが読めるようになった話”をします。当バンクでは複数メーカーのシークエンサーを使っていますが、今回はその中のキャピラリ方式のシークエンサーを使いました。
■ 大きさ46kbのコスミドベクターに、ある遺伝子2kbをクローニングした後、インサートDNAの配列を確認すべくベクター側からのプライマーを用いてシークエンスをしました。前後両方向読もうとしたのですが、後ろからのシークエンスは読めたのに、前からのシークエンスがどのクローンも全く読めませんでした。Raw dataを見てみると、シークエンスの反応自体がうまくいっていない様子。ベクターとプライマーの相性が悪くて反応がいかないのではないか? はじめて使用するプライマーだったため、伸長反応に問題はないか、シークエンスに用いたコスミドを鋳型に、成功した後側からのプライマーと失敗した前側のプライマーでインサートのサイズのバンドが増幅されるかPCRをかけてみました。するとPCR産物はきれいなシングルバンドで量も充分に増えました。プライマーの相性は問題なく、また内部に走り辛い配列もなさそうです。
■ よく行われる手法で、GCリッチの場合DMSOを1%加えるのが知られていますので、読めたらと思い試してみました。シグナルは出るようにはなったのですが、全体にピークが乱れていて、塩基間のシグナルの分離がうまくいかず読めませんでした。
■ 次に、“Pre-heat”を試してみました。通常シークエンス反応を行う際、最初に全ての材料を加え反応液を調製しサーマルクライマーで反応をかけますが、プレミックス(酵素、dNTPS 、反応バッファーなど)とプライマーを入れる前に、template DNAと水のみでpre -heat(96度3分→on ice)させるという工程です。実はこの工程はシークエンサーメーカーの添付マニュアルに書いてあったのですが、他社のシークエンス試薬の説明書にはなく、今までシークエンスを読むのに不自由を感じていなかったため、“Pre-heat”は行わず反応させていました。しかし今回は、後ろは読めたのに前が読めない、プライマーと鋳型の相性は問題なさそう、そしてDMSOの効果も思わしくない。もしこれが効いたら…と、半信半疑で試してみました。
■ Template DNAと水のみでpre-heat(96度3分→on ice)その後、プレミックス(酵素、dNTPS 、反応バッファーなど)とプライマーを入れサーマルクライマーで反応させました。以前と同様に反応条件は96度20秒-63.4度4分×50サイクルで行いました。
結果は…?
成功。この工程“Template DNAと水のみでpre-heat”を挟んだだけで、読めなかった前側プライマーでコスミドのシークエンスがきれいに読める様になりました!なぜか読めないクローンをお持ちで、“Pre-heat”を行っていない場合は是非試してみて下さい。
クローンの全長が10kb以下のプラスミドDNAの場合、pre-heatは96度1分程で良いようです。“Pre-heat”の教訓です。(K.I.)

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■■■ 論文紹介 ■■■
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■ Ugai H et al., Purification of infectious adenovirus in two hours by ultracentrifugation and tangential flow filtration. Biochem. Biophys. Res. Commun. 331, 1053-1060 (2005).
アデノウイルスは遺伝子導入のためのすばらしいベクターであり、また、生細胞での導入遺伝子産物の高い遺伝子発現を実現するに幅広く利用されている。一方で、感染性が安定した組換えアデノウイルスの簡便かつ迅速な精製方法の開発が望まれている。この論文では、604,000g (15分、4℃)で行う塩化セシウム密度勾配超遠心とtangential flow filtration によるヒトアデノウイルス5型粒子の精製方法を報告している。全体の操作は早ければ2時間足らずで完了し、感染性のヒトアデノウイルスが粗精製サンプルのpfu 値で64 % 以上の値で回収できる。実際に、精製ヒトアデノウイルスを1.35×10の10乗 pfu/ml で精製し、particle tite/infectious titer は約7であった。この方法は、ヒト5型アデノウイルスのみならず、in vivo ならびにin vitro 実験に用いられる組換えアデノウイルスの迅速な精製を可能にするものである。(T.M.)
■ 先日開催しました「組換えアデノウイルスの取扱いに関する技術研修 」でも、この方法で組換えアデノウイルスの精製を行いました。研修生の皆さんに実際に作業を行って頂きましたところ、手順を説明しながら、また、途中で昼食時間を挟みながらの作業でしたが、約5時間で精製を終わりました。その時使用したテキストは、DNA Bank のホームページで公開する予定です。(T.M.)
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発行
理化学研究所・バイオリソースセンター
遺伝子材料開発室
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2005.10.02



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